4月5日(木)北海道新聞「教えてドクター」
- 4月5日の道新朝刊の「教えてドクター」欄に、私の回答が掲載されました。
- この欄は、読者の方から頂戴した健康や病気に関するご質問に対し、お答えする企画です。
- 長年続いていた「学んで治そう」という欄が、この4月からタイトルが変わり装いも新たになりました。
- という訳で、私の担当が記念すべき「教えてドクター」第1回目となりました。
- 今回の相談テーマは「目の中に帯状の光が現れる」です。
- 「視野の真ん中でチカチカと光 り、目を動かすとそれに伴って動き、だんだんと光が弱く小さくなり、だいたい数秒で消える」という症状です。
- 実際には光っていないのに、光を感じる症状を「光視症」と言います。
- 光視症は、目の中に原因がある場合(末梢=まっしょう=性)と脳神経に原因がある場合(中枢性)があります。末梢性では一般的に、左右どちらの目に症状が起こっているのか判別が可能です。
- 光視症の原因により、光の現れる場所(視野の中心付近か周辺部か)や持続時間などに特徴があります。
- 最も多い光視症は、網膜が引っ張られる際に起こるもので、耳側の視野に縦の方向に稲光りのような光が時折走るのが特徴です。網膜が引っ張られると、網膜に裂け目(網膜裂孔)ができ、網膜剝離になる場合があります。網膜裂孔ができると、蚊のような小さな黒い虫のようなもの見える飛蚊(ひぶん)症が生じます。
- 網膜裂孔や網膜剝離は緊急の治療を要しますので、耳側視野に光視症を自覚し、同時に飛蚊症も現れたら、眼科で早急な眼底検査が必要です。
- さて、ご相談の方の目の中に光が現れる症状は「ブルーフィールド内視現象」であろうと思われました。
- ブルーフィールド内視現象は、網膜中心付近の細い血管を流れる白血球が原因と考えられています。
- 白血球は細い血管の中をゆっくり移動します。血管は網膜の表面側にあり血管内の白血球は光を遮ります。白血球が通り過ぎると網膜の深くに急に光が届くため、光を感じます。この光に網膜はすぐに慣れ症状は消えます。
- ご相談者の症状は、視野の中心付近に光が現れること・点滅している様な光で、移動性であること・光の強さが減弱していくこと・数秒で症状がなくなるといった点で、ブルーフィールド内視現象と類似しています。
- 血管の中を白血球が流れていくのは正常な現象ですので、ブルーフィールド内視現象はどなたにでも起こり得る正常な症状です。
- 青空を見ているとブルーフィールド内視現象を体験することがありますよ。
- この現象であれば問題はないのですが、一度眼科を受診され、目の病気などがないことを確認されることをお勧めいたしました。
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