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4月3日、米国眼科学会ホームページに「食事と栄養素」というタイトルで、
「若返ることはできませんが、良い食べ物を摂取することで視機能や健康を維持することができます。」という書き出しで始まる記事が掲載されましたので以下に内容をご紹介いたします。
ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、ルテイン、ゼアキサンチン、オメガ3脂肪酸は加齢黄斑変性や白内障、その他の高齢者が罹りやすい目の病気の発症リスクを低下させることが期待できます。
まだはっきりとした理由はわかっていませんが、食生活と緑内障の間にも関連性があるようです。
それでは目に良い栄養素を豊富に含む食品を列挙します。
ビタミンC:オレンジ、グレープフルーツ、キウイ、イチゴ、トマト、ピーマン、パプリカ、ブロッコリー
ビタミンE:アーモンド、ひまわりの種、オリーブオイル、アボガド
亜鉛:ピーナッツ、えんどう豆、レンズ豆などの豆類
ルテイン・ゼアキサンチン:ルテインとゼアキサンチンはカロテノイドと呼ばれる自然界に存在する黄色や赤色などの色素の種類で、ケールやホウレンソウなどの葉物野菜に含まれています。良いカロテノイドは、ブロッコリー、アスパラガス、ラズベリー、パパイヤ、ピーチ、マンゴーといった食品に豊富に含まれています。
白内障予防
果物や野菜を規則的に摂取することで白内障での視機能低下を防ぐことができます。抗酸化作用を有する成分を多く含む食品の摂取で、白内障の発症、進行を抑制できることが確認されています。
抗酸化作用は加齢の原因となる体内の酸化反応を減らし、健康の維持に寄与します。酸化反応は水晶体の脂質やタンパク質を変性させため、水晶体が濁り、白内障を発生させます。
ビタミンA、C、E、カロテノイド、ルテイン、ゼアキサンチン、セレニウム(パスタ、パン、穀物、肉、卵、魚、かつお節などに含まれます)が豊富な食品は、抗酸化作用により酸化反応から細胞を守ってくれます。
白内障の予防には、ドラッグストアで売られているサプリメントよりも、果物や野菜、自然食品から抗酸化作用を有する成分を摂取することの方が有効です。
サプリメントによっては過剰摂取の危険性があり、例えば、ベータカロテンの過剰摂取は喫煙者や喫煙歴のある方には肺がんの発症リスクを高めてしまいますし、ビタミンEの過剰摂政は脳出血や前立腺癌のリスクを高めます。
ですから、高濃度のサプリメントよりも、新鮮な野菜や果物の摂取が目にも健康のためにも安心です。
地中海食
地中海食は、ギリシャ、イタリア、スペイン、モロッコなどの地中海沿岸の国々で食されている伝統的な食事で、地中海で取れる海産物や、野菜・果物、全粒雑穀類、豆類などの食品とオリーブオイルを豊富に摂取し、夕食に適量の赤ワインを嗜みます。心疾患や加齢黄斑変性のリスクを下げることが報告されています。
低 G I(グリセミック・インデックス)食と目の健康
低G I食は糖尿病や加齢黄斑変性に有効です。ただ、新たなダイエットを始める前にはかかりつけ医に相談することをお勧めします。最近流行りのダイエットが必ずしも健康に良いというわけでは無いからです。
糖尿病患者では血糖値が上昇し、これが長期に亘り持続することで重篤な健康障害や視機能障害を来します。食品によっては摂取後に急激な血糖値上昇を招き(高G I食)、一方、低G I食は緩やかに血糖値を上昇させますので、急激な高血糖を避けることができます。
低G I食という点からは、甘いシリアルよりもオートミールやミューズリーがお勧めです。白米よりも玄米、白いパンよりも全粒粉パン、ベイクドポテトよりも小麦のパスタやスイートポテト、ポテトトップスよりもナッツがお勧めです。
オメガ脂肪酸とドライアイ
涙の量や質の低下で目の表面の潤いが保たれず、さまざまな症状を自覚るす状態がドライアイです。
オメガ3とオメガ6脂肪酸がドライアイの治療に有効という話をお聞きになったことがあるかもしれませんが、現時点ではしっかりとした科学的検証はなされていません。オメガ3脂肪酸はサケ、マス、イワシといった魚の脂に、オメガ6脂肪酸はクルミやひまわり油といった木の実や油に含まれています。
魚は加齢黄斑変性のリスクを低下させます
複数の研究が、オメガ3脂肪酸を豊富に含む魚を週に2回以上摂取する女性は、加齢黄斑変性になりにくいと報告しています。
オメガ3脂肪酸は心疾患の予防効果がありますので、魚は心臓にも良い食べ物です。米国心臓協会は、週に2回以上魚を摂取することを勧めています。
AREDS2が推奨する加齢黄斑変性のサプリメント
先日のブログでご紹介したように、AREDS(Age-related Eye Disease Study)2の結果を受け、加齢黄斑変性の進行を抑えるために、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、ルテイン、ゼアキサンチンを一緒に服用することが推奨されています。
ビタミンや栄養が豊富な食品が目の病気を治すわけではありませんし、既に失われた視機能を取り戻すことができるわけでもありませんが、良い食品はいかなる年齢層に対しても健康保持に有効ですし、目の健康維持にも大切です。
目の健康保持についてのご質問は、眼科医にご相談ください。