自宅照度が高齢眼科患者の自宅活動量を規定
- 2024.2.11
- ブログ
自宅内の環境、特に室内の明るさ(照度)が、視機能に障害を持つ患者さんの自宅での活動量に影響を与えることを報告した、米国メリーランド州ジョンズ・ホプキンス大学ウィルマー眼研究所からの論文がJAMA Ophthalmologyの電子版に掲載されました。
この研究では、緑内障が原因で様々な程度の視野障害を有する153名(平均年齢71歳)を対象に、歩行距離や速度、歩数などを計測する装置を連続する7日間以上装着させ、自宅での行動の様子をモニターしました。
さらに研究チームのメンバーが患者さんの自宅を訪問し、部屋の照度のデータを収集したり、自宅での転倒リスクなどについて質問表を用いて調査しました。
その結果、患者さんの視野障害の程度に関わらず、室内が明るければ明るいほど、自宅での歩行数が増え、歩くスピードも早くなることがわかりました。
一方、自宅での歩行や移動が増えても転倒などのリスクが高まることはありませんでした。
以上より、自宅の照度が高いことが高齢患者さんの自宅での活動量の維持・向上につながることが明らかとなりました。
自宅での歩行や掃除、洗濯、調理、食器の洗浄といった日常の活動が健康の維持に大切であり、介助を必要とせずに高齢者が日常生活を送ることにつながると報告されています。
日々の活動量の維持は、脚や体幹の筋力の維持、心身の活力の維持に直結し、最近話題のフレイル(年齢とともに筋力や心身が衰え、介護が必要となりやすい、健康と要介護の間の状態)を予防することができます。
筋力の低下は転倒リスクを高め、生命に関わるような疾病を引き起こす要因となります。
室内の照明を明るくすることは、自宅での高齢者の活動量を維持し、ひいては健康寿命の延長につながることが期待されます。
カテゴリー
- お知らせ (12)
- ブログ (437)
- iPS細胞 (19)
- IT眼症 (9)
- OCTアンギオ (8)
- アルツハイマー病 (7)
- アレルギー性結膜炎 (5)
- お困りごと解決情報 (17)
- こんな症状が出たら (35)
- サプリメント (14)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (17)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (14)
- 加齢黄斑変性 (106)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (2)
- 白内障 (21)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (12)
- 糖尿病網膜症 (50)
- 紫外線 (2)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (3)
- 網膜剥離 (16)
- 網膜動脈閉塞 (8)
- 網膜色素変性症 (7)
- 網膜静脈閉塞 (12)
- 緑内障 (28)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (28)
- 近況報告 (83)
- 近視予防 (39)
- 飛蚊症・光視症 (15)
- 黄斑円孔 (4)
- 黄斑前膜 (3)
- 未分類 (10)
アーカイブ
最新の記事
- 2025.11.16
- 「暗闇になじむまでが長い」はサイン? “暗順応”でわかる加齢黄斑変性の早期リスク
- 2025.11.8
- 内服薬で“黄斑”が傷む?最新研究が示した5つの要注意薬と上手なつきあい方
- 2025.11.1
- 網膜剥離は「防げる失明」:合図を知って、早く受診を
- 2025.10.26
- 「血糖だけ」じゃ足りない。低血糖も怖い: J-DOIT3が教える、網膜症予防の新常識
- 2025.10.17
- 点眼で加齢黄斑変性は治せる?最新研究が教えてくれる「期待」と「限界」
- 2025.10.11
- 散瞳検査と急性緑内障発作のリスク~瞳を広げる検査は安全なの?~
- 2025.10.3
- 飛蚊症や光が見えたら…「網膜剥離」になる前に知っておきたい目のサイン
- 2025.10.2
- 眼科疾患のリスク因子、診断・治療・予後の検討のための後ろ向き観察研究
- 2025.9.27
- 「進行は止められるのか?」─地図状萎縮の新治療と、患者たちの選択
- 2025.9.20
- 萎縮型加齢黄斑変性に治療薬「アイザベイ」



理事長・院長