教育と近視について
先週は、本邦において幼児・児童・生徒の裸眼視力の低下が進んでいることをご紹介しました。
今週は、米国「視覚と眼科学研究協会」の機関誌であるIOVS誌の電子版に掲載された「教育が近視に及ぼす影響の一部には、屋外で過ごす時間が関与している」という表題の英国研究チームの論文をご紹介します。
この論文では、屋外活動が近視の発症や進行を抑える効果があることと、本や教科書を読むといった近見作業は近視の発症・進行を促進させることを踏まえ、授業や自主学習などの教育活動は一般的に屋内で行われ、かつ長時間の近見作業を伴うため、教育が近視の発症・進行にどの程度関与しているかを検討するため、英国の約50万人のデータを解析しました。
その結果、
1.子供の頃さらに成人後の屋外活動時間は弱いながらも遺伝的要素が関与していた。
2.教育を受ける年数が長くなる遺伝素因は、子どもの屋外活動時間を短くすることに関与していた。
3.教育年数の増加が近視の発症・進行に与えるリスクは、就学のために屋外活動時間が減る影響を考慮することで40%減少した。
以上より、教育による近視の発症・進行のリスクの約半分は、子供たちが就学中に屋外に出ないことが関与していると結論付けています。
さらに論文では、子供たちを屋外で教育することや、学校の教室を再設計してより多くの日光が教室に射し込むようにすることで、教育が近視に及ぼす悪影響を半減できる可能性があると考察しています。
台湾では、1日2時間以上の屋外活動を国の政策として推進し、さらに法律を改正し、体育の授業を週150分、屋外で行うことを義務づけています。他の授業でも屋外での実施を推奨し、子供の近視発症や進行予防に努めています。
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理事長・院長