多焦点眼内レンズ白内障手術
以前、「自由診療」「先進医療」で行っていた多焦点眼内レンズを用いた白内障手術ですが、この度、「選定療養」と言う枠組みで行うことといたしました。
多焦点眼内レンズは白内障手術後に眼鏡を装用する必要性を減らす目的で開発された眼内レンズで、開発後も改良、進化を遂げています。
以前の多焦点眼内レンズは、遠くと近くが見やすいデザインの多焦点眼内レンズでは、パソコン作業のような中間距離(50cm~1m)を見る時には眼鏡が必要だったり、遠くや中間距離が見やすい多焦点眼内レンズでは、読書などの手元を見るときに老眼鏡が必要となることが問題でした。
最近開発された多焦点眼内レンズは、遠方から近方まで概ね良好にピントが合い、眼鏡装用を必要とする場面が従来の多焦点眼内レンズと比べずいぶん少なくなっています。
夜間に光が滲んだり、見え方の鮮明さがやや落ちるなどのデメリットも改善されていますが、通常の単焦点眼内レンズと比べると未だにやや劣っており、これらの見え方にどうしても慣れることができない患者様が稀におられます。
とは言え、多焦点眼内レンズを選択された患者様の多くに満足いただける状況となって参りましたので、「選定療養」として多焦点眼内レンズを用いた白内障手術を開始することにいたしました。
「選定医療」とは、患者様が追加費用を負担することで、健康保険適用外の治療を保険適用の治療と併せて受けることができる医療です。

多焦点眼内レンズを使用した白内障手術は、手術自体は通常の単焦点眼内レンズと変わらず保険適応で実施し、多焦点眼内レンズとその検査等に関わる料金を患者様が全額自己負担していただく制度です。
先日、東京で開催された第77回日本臨床眼科学会に出席し、網膜硝子体疾患のセッションや講演の聴講に加え、多焦点眼内レンズのセッションにも参加し、知識や情報をブラッシュアップして参りました。

多焦点眼内レンズは遠くから手元まで裸眼で見えるという利点がありますが、光が滲んだり、コントラストがやや低下する欠点があります。
患者様に多焦点眼内レンズの利点と欠点を理解していただき、眼内レンズの選択を検討していただけるように、当院では説明体制を整えています。
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理事長・院長