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光干渉断層血管撮影での網膜血管の評価が全身動脈硬化の指標となる

光干渉断層血管撮影(OCTA)は、検査を受ける方に負担を与えることなく、瞬時に網膜や脈絡膜の微小血管の様子を描出することができる検査です。

当院では2種類のOCTAを活用し、加齢黄斑変性や糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症などの網膜・脈絡膜血管病変の診断や治療効果の判定を行ったり、経過観察の評価に利用しています。

Transl Vis Sci Technolという眼科科学雑誌の5月号に、急性心筋梗塞患者では網膜・脈絡膜の微小血管が閉塞・脱落し、血管密度が低下しているというギリシャの研究グループの論文が掲載されました。

心筋梗塞は心臓の壁を栄養する冠動脈が詰まったり、急激に細くなることで、心臓の働きが悪くなる病気です。

鼠径部の静脈からカテーテルを挿入し、心臓の血管造影検査を行うことで、冠動脈の詰まった部位や詰まり具合を調べることで、心筋梗塞を診断することができますが、心臓壁の微小血管の状態を評価することはできません。

近年、心筋梗塞を発症する以前に、心臓壁の微小血管が狭窄したり、詰まったりすることがわかってきましたが、患者に負担をかけずに心臓壁の微小血管の状態を評価できる検査法がありません。

心筋梗塞は高血圧や高脂血症といった生活習慣病を背景に、全身の動脈硬化が進行することで発症します。

網膜血管は以前から全身の動脈硬化の指標として用いられています。

眼底写真の網膜血管の太さや動脈と静脈が交叉する部位の血管走行などから、動脈硬化を判定しています。

OCTAは網膜の微小血管を描出することができるため、眼底写真では判らない微小血管の閉塞や脱落、血管密度などを評価することができます。

その結果、従来の眼底写真で判明する動脈硬化よりもOCTAでは早期の変化を検出できると期待されています。

Transl Vis Sci Technol誌に掲載された論文は、心筋梗塞患者では網膜や脈絡膜の微小血管にも動脈硬化による変化が生じていることを示しています。

さらに、OCTAで検査した網膜や脈絡膜の微小血管の情報が、全身の動脈硬化の指標となる可能性を示唆いています。

OCTAは簡便に行え、瞬時に結果が出る検査です。器械の操作も比較的容易ですので、全身の動脈硬化を調べる検査として検診や人間ドックで活躍する日が訪れるかもしれません。

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