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人工涙液点眼の細菌汚染

今年3月のJAMA Ophthalmology電子版に、人工涙液の使用中に抗菌剤が効きにくい緑膿菌による角膜潰瘍を発症したマイアミ大学からの症例報告が掲載され、これを受け、点眼容器の細菌汚染について警鐘を鳴らす雑誌編者側からのコメントが5月の電子版に掲載されました。

人工涙液は主にドライアイの治療に使用される点眼薬で、その名の通り涙に近い成分になっています。

医療機関で処方する点眼薬の多くは、開封後に点眼容器の中で細菌が増えないように防腐剤が少量入っています。

ところが防腐剤で、角膜や結膜といった目の表面が傷つく方が稀におられます。

特にドライアイの方は涙の量や性状の変化で目の表面に傷がつきやすい状態となっており、治療のために点眼薬を使用することで、防腐剤による影響を受けやすくなっています。

そのためドライアイの治療に使用される人工涙液の点眼薬には、防腐剤が入っていないものがあり、防腐剤入りの点眼薬と比べ、点眼容器の中で細菌が増える危険性があります。

目薬をさす時に、点眼容器の先が目やまつ毛に触れると、細菌が点眼容器の中に入ってしまいます。

防腐剤が入っていない点眼薬では、点眼容器に入った細菌が増殖しやすいので、点眼容器の先が眼やまつ毛に触れないように、特に気をつけなければなりません。

ドライアイで目の表面に傷がついていると、細菌への抵抗性が弱くなっており、JAMA Ophthalmologyの報告例では、点眼容器内の細菌が目の表面で増殖したと思われます。

防腐剤の入っている点眼薬の使用期間は、開封してから概ね1か月、

防腐剤の入っていない点眼薬では1週間から10日以内です。

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