コロナワクチンと眼炎症性疾患
- 2023.2.26
- ブログ
既に皆さんもご存知の通り、令和5年3月15日からマスク着用ルールが緩和され、
5月8日にはコロナウイルスの感染症法の位置づけが「2類相当」から「5類」に引き下げられます。
3年間続いたコロナ感染禍に一区切りをつけることになります。
コロナ感染症の収束には色々な取り組みが功を奏したのかと思いますが、そのひとつにワクチン接種が挙げられます。
コロナウイルスへのワクチン接種は2021年から始まりましたが、接種が進むにつれてワクチン接種後に眼の中に炎症が起こる眼炎症性疾患を発症したという報告が増えてきました。
眼内炎症性疾患が生じると目が充血したり、かすんで見えるようになったり、視力が低下することもあります。
米国眼科学会の機関誌 Ophthalmology の2023年3月号に、mRNAタイプのコロナウイルスワクチン接種後に眼炎症性疾患が起こりやすいのかについて検討した東京大学の研究結果が掲載されました。
この研究では医療機関から提出された診療報酬明細書とコロナワクチン接種報告書を基に、ワクチン接種者99,718人を対象に、初回と2回目接種後の眼炎症性疾患の発症頻度を検証しました。
初回投与から21日目までに眼炎症性疾患を発症した方が29人、
2回目接種から84日目までに眼炎症性疾患を発症した方が79人おられました。
(初回投与から21日目と2回目接種から84日目は、ワクチン接種後の副反応が起こりやすい期間とされています)
この期間後に眼炎症性疾患を発症した方もおられ、
ワクチン接種後の副反応が起こりやすい期間とそれ以降に眼炎症性疾患を発症した割合に差がありませんでした。
この論文では、mRNAタイプのコロナウイルスワクチン接種後の眼炎症性疾患の発症リスクが高まることは無いと結論づけています。
ただ、さらに症例数を増やして検討する必要があるとも述べています。
コロナ感染症収束後も、ワクチン接種の必要性について話題に上るのかと思います。
万が一、ワクチン接種後に目の充血や、かすみ目を自覚された場合は、眼炎症性疾患の有無を検査するための眼科受診をお勧めします。
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