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糖尿病網膜症:予防治療よりも定期検査 DRCR.netプロトコールW研究結果  

糖尿病網膜症臨床研究ネットワーク(DRCR.net)は2002年に発足し、糖尿病網膜症治療に関する種々の疑問点を解決するために、全米の眼科医が参加し、決められた基準(プロトコール)に合致し研究への参加に同意された症例を、プロトコールに基づいて治療する取り組みです。

プロトコールAから始まり、B、C、Dと続くのですが、今回はプロトコールWの4年間の研究結果が、世界4大医学雑誌の一つであるJAMA(米国医師会が発行する臨床医学雑誌)の最新号に掲載されましたので紹介いたします。

まず、前置きとして、糖尿病網膜症は糖尿病の三大合併症の一つで、日本人成人の失明原因の上位に挙げられている病気です。

高血糖の影響で細い血管がもろくなり、詰まることで、網膜の働きが障害されます。

糖尿病網膜症で視機能障害が生じる患者さんは、2015年の1年間で、世界中で約250万人に昇ると推測されています。

視機能障害が生じる原因は、主に増殖糖尿病網膜症(重症の糖尿病網膜症)と糖尿病黄斑浮腫です。

増殖糖尿病網膜症では網膜表面に網膜新生血管や線維血管増殖組織が発生・伸展することで、目の中に大量に出血したり、線維血管増殖組織に引っ張られた網膜が眼球壁から剥がれる牽引性網膜剥離が生じると、視機能が障害されます。

糖尿病黄斑浮腫は、物を見るために最も大切な働きをしている黄斑(網膜の中央部)が浮腫むことで、黄斑網膜の機能が低下し、視機能が障害されます。

抗血管内皮増殖因子(VEGF)阻害剤は、糖尿病黄斑浮腫や滲出型加齢黄斑変性の治療薬で、目の中に注射します。現時点では認可されていませんが、増殖糖尿病網膜症の網膜新生血管を退縮させる効果が知られています。

プロトコールWでは、増殖糖尿病網膜症や糖尿病黄斑浮腫の発症リスクの高い症例に予防的に抗VEGF阻害剤を投与することで、視機能障害を来たす増殖糖尿病網膜症や糖尿病黄斑浮腫の発症を予防することができるかについて検討しました。

米国とカナダの64施設から登録された増殖糖尿病網膜症や糖尿病黄斑浮腫の発症リスクの高い症例328例399眼を、抗VEGF阻害剤で治療する群と無治療で経過観察する群の2群に無作為に分け、4年間の経過観察を行いました。

抗VEGF阻害剤治療群では、まず1か月毎3回、その後は4か月毎、抗VEGF阻害剤の眼内注射を行いました。(ただし、3・4年目に軽症の糖尿病網膜症に改善している場合は眼内注射は行われませんでした。)

無治療群は無治療での経過観察です。

ただし、両群とも視機能に障害を来した増殖糖尿病網膜症や糖尿病黄斑浮腫が生じた場合は、必要な治療が行われました。

その結果、4年間に増殖糖尿病網膜症や糖尿病黄斑浮腫が生じた割合は、抗VEGF阻害剤治療群では33.9%、無治療群では56.9%で、抗VEGF阻害剤を投与することで、増殖糖尿病網膜症や糖尿病黄斑浮腫の発症を予防する効果があることが確認されました。

一方、視力に関しては両群とも4年間でわずかに低下するのみで、差がありませんでした。

網膜症進行予防と視力の結果に違いが認められた理由は、本研究では研究計画で定められた定期検査が行われており、仮に視機能が脅かされる状況になっても、迅速に治療が開始されたため、重大な視機能障害を回避することができたと考えられます。

従って、プロトコールWの結果は、視機能の維持には予防治療よりも、治療が必要となった糖尿病網膜症に進行した際に速やかにしっかりと治療を開始することが大切であることを示しています。

治療のタイミングが遅れないように、定期的な眼科検査が肝要です。

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