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ナノ粒子フェノフィブラート点眼薬

フェノフィブラートは高脂血症の内服薬です。

2005年、Lancet誌に掲載されたFIELD試験では、2型糖尿病患者にフェノフィブラートを5年間服用した結果、フェノフィブラートを内服することで糖尿病網膜症の進行を抑えることができ、光凝固が必要となるような症例が確実に減ったことが報告されました。

今年 JAMA Ophthalmologyに掲載された米国からの論文では、5835例のフェノフィブラートを内服している糖尿病網膜症患者と、内服していない糖尿病網膜症患者14万4417例を比較し、フェノフィブラートは増殖糖尿病網膜症(重症化した網膜症)への進行や視機能障害が生じるリスクを低下させることが報告されました。

良好な血糖コントロールが糖尿病網膜症の発症や進行抑制に有効であることが確認されていますが、内服治療薬については、現時点では有効な薬剤はありません。

ですから、フェノフィブラートには大きな期待がかけれられますが、内服薬では重篤な副作用への配慮が必要です。

日本大学板橋病院眼科の長岡泰司教授らの研究グループは、フェノフィブラートの全身への作用を最小限にして眼局所のみで作用するように、フェノフィブラートの点眼薬を開発中です。

従来の点眼薬は眼球の奥の方にある網膜まで薬剤が到達しないため、網膜疾患の治療が可能な点眼薬はありません。

薬剤をナノ粒子レベルまで粉砕した点眼薬では、薬剤が高濃度に眼内移行し、網膜にも十分量の薬剤が到達することが報告されています。

長岡教授らの研究グループはフェノフィブラートのナノ粒子点眼薬を作成し、マウスを用いた動物実験で、網膜まで治療に必要な有効濃度のフェノフィブラートが到達することを確認しました。

さらに2型糖尿病マウスで早期から生じる網膜血流調節障害を、ナノ粒子フェノフィブラート点眼薬が改善させることを確認しました。

この結果は、ナノ粒子フェノフィブラート点眼薬が糖尿病網膜症や糖尿病黄斑浮腫の治療薬となる可能性を示唆しています。

今後はまず前臨床試験として眼球構造や形態がヒトと類似するブタを用いてこの治療の再現性と安全性の検討を行い、将来的には糖尿病患者を対象とした臨床研究で、糖尿病網膜症・黄斑浮腫治療薬としての効果の検討を行うべく、研究が進行中のようです。

臨床応用までにはまだまだクリアすべきハードルがある様ですが、点眼薬で糖尿病網膜症の治療が出来れば、糖尿病網膜症や糖尿病黄斑浮腫の治療にエポックメイキングをもたらすと期待されます。

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