喫煙は緑内障の視野障害を進行させる
「喫煙量が多い患者ほど緑内障による視野障害が進行しやすい」という、カリフォルニア大学サンデイエゴ校を中心とする多施設共同研究の結果が、Ophthalmpology11月号に掲載されました。
本研究の対象者は3年以上の経過観察を行った開放隅角緑内障患者354名511眼で、
視野障害の進行状況と年齢、性別、人種、喫煙歴や量、アルコール摂取、肥満度、眼圧の推移などとの関連性が検討されました。
その結果、喫煙量が多い緑内障患者ほど視野障害の進行が早く、ヘビースモーカーは喫煙歴のない緑内障患者と比べ視野障害の進行リスクが2.2倍であることが明らかとなりました。
緑内障の発症・進行には複数の要因が関与していると考えられており、
視神経や眼内の血流障害もその要因の一つであろうと推測されています。
喫煙は動脈硬化や動脈狭細化の誘因となりますし、体内の活性酸素を増加させ慢性的な炎症状態を作ることで、血管機能の障害をもたらすと報告されています。
論文の著者は、長期にわたる喫煙が視神経への血流低下や、網膜細胞の障害、房水(目の中の液体)排泄路の障害を招くことで、緑内障により視野障害の進行リスクを高めるのであろうと推測しています。
緑内障は日本における失明原因の第1位の疾患です。
今回の研究結果は、喫煙についてのケルスケアの取り組みが、進行した視野障害で視機能が低下する緑内障患者を減らす可能性を示唆していますし、喫煙している緑内障患者には、禁煙を促す必要性の意義を示しています。
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