地中海食は萎縮型加齢黄斑変性の予防に有効
地中海食は、動脈硬化による狭心症や心筋梗塞、脳血管障害などの冠動脈疾患に対する予防効果があり、世界的に注目されている食事です。
その名の通りイタリアやギリシャ、スペインといった地中海沿岸諸国の伝統的な料理です。
その特徴は、
・果物や野菜を豊富に摂取する。
・チーズやヨーグルトなどの乳製品の摂取は控えめ。
・赤身肉よりも魚介類の摂取が多い。
・オリーブオイルやナッツ、豆類の摂取が多い。
・全粒粉など未精製の穀物をよく使う。
・ワインは食事と一緒に適量を飲む。
地中海食が健康に良い理由は、
・抗酸化作用が強い野菜や果物などの植物性食品の摂取が多いこと、
・タンパク質は動脈硬化の予防に有効な不飽和脂肪酸が豊富な魚介類や豆類から摂取し、飽和脂肪酸の多い肉
や乳製品の摂取を控えていること、
・不飽和脂肪酸を多く含むオリーブオイルを頻用すること、
・全粒粉の食品は血中コレステロール値を抑える効果があり、さらに食物繊維を多く含むため、腸内細菌のバ
ランスを整え、免疫機能の維持に貢献します、
・赤ワインはポリフェノールが豊富で抗酸化作用があります。
最近のOphthalmology Retina誌に掲載された論文によると、地中海食は萎縮型加齢黄斑変性の発症予防・進行抑制の効果があるようです。
加齢黄斑変性は、網膜の中央部分にあたる黄斑が加齢性の変化が原因で障害される疾患で、近年、増加傾向にあります。
視力低下や物が歪んで見えるといった症状が進行します。
日本では視覚障害の原因疾患の第4位で、高齢者の失明原因となる疾患です。
加齢黄斑変性は滲出型と萎縮型の2種類に分類され、
日本人には滲出型が多いのですが、欧米では萎縮型が多いようです。
萎縮型加齢黄斑変性では、加齢に伴い黄斑部の網膜細胞内や周囲に老廃物が溜まり、網膜細胞が機能不全や栄養不足に陥り、網膜細胞の萎縮・脱落が進行します。
網膜細胞の萎縮・脱落した領域が徐々に拡大することで、視力低下の進行や中心暗点の拡大が起こり、視機能障害が進行します。
現時点では有効な治療法は確立されておらず、予防に努めることが大切です。
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