朝起きがけに見えにくい
「朝の起きがけが見えにくく、ゴロゴロする。目を閉じて数分横になっていると良くなってくる。」という症状を訴えられる患者様がおられます。
この症状は、ドライアイが原因となっていることが多いようです。
睡眠中は瞼がしっかり閉じ、目の表面が乾燥しないように保護しています。
ところが、閉瞼が不十分な方がおられ、睡眠中に眼の表面が乾燥するため、起きがけにゴロゴロしたり、かすんで見えにくいといった症状が現れます。
起床後は瞬きをすることで涙が分泌され、目の表面が涙で潤いますので、目の表面の乾燥が改善され、ゴロゴロ感が緩和されます。
角膜の表面が涙で被われることで、凸凹のある角膜表面がなめらかな球面となり、網膜に焦点が合いやすくなり、見え方が鮮明になり、起きがけのかすみ感が解消されます。
涙は目の表面を潤し乾燥から守るだけではなく、見え方にも影響を与えているのです。
ちなみに涙には、他にも役割があり、
目の表面の細胞に酸素や栄養を供給したり、目の表面を洗浄したり、細菌やウイルスが感染しないように目を守ってくれます。
涙に関する話題をもう一つ紹介します。
ヒトのiPS細胞から涙を産生する涙腺組織を作ることに成功した大阪大などの研究チームの論文が、4月21日の科学誌「ネイチャー」に掲載されました。
研究ではiPS細胞から涙腺のもとになる細胞を作製し、ラットの目の近くに移植したところ、涙腺の組織ができたと報告しています。
涙を作る機能は十分には発達していないようで、今後さらなる研究が進められるそうです。
医療現場で治療として使用できるようになるには、まだまだ時間がかかると思われますが、涙腺が壊れ涙の分泌量が少なくなるため、重症のドライアイとなるシェーグレン症候群を根治できる治療法となるかもしれません。
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