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血圧と緑内障

緑内障の治療で通院中の患者さんから、「血圧が高いと眼圧も高くなるのでしょうか。」というご質問をいただくことがあります。

緑内障は、視神経を構成する神経線維が脱落・減少することで、視野に見えにくい場所が出現・拡大する病気です。40歳以上の日本人の約5%が緑内障でさると推測されています。

視神経線維の脱落・減少には眼圧(眼球の中の圧力)が大きく関わっているため、

眼圧を下げることで、視神経線維の脱落・減少の進行を抑制し、視野障害の進行を抑えることができます。

米国眼科学会の機関誌Ophthalmology 3月号に、15ヶ月以上の経過観察を行うことができた2万800人以上の症例を対象に、血圧値や高血圧治療と緑内障発症との関係につて検討した研究結果が掲載されましたので、紹介いたします。

研究期間中に462人が新たに緑内障を発症し、

緑内障を発症しやすい人は、血圧が低い人・高齢者・糖尿病患者・人種的には白人よりも有色人種(特に黒人)であることが確認されました。

低血圧が緑内障の発症・進行にかかわることは以前から報告されています。

低血圧の結果、視神経を栄養する血流が低下し、視神経の機能が低下するため、視神経線維の脱落・減少を招きやすいと推測されています。

血圧が高いことや高血圧治療の内服薬の数は、緑内障発症のリスクを高めることはありませんでした。

また、無治療で眼圧が正常値の方と治療薬により血圧が正常値に保たれている方との間に、緑内障発症率に違いはみられませんでした。

血圧が高くても眼球組織の血流量が増えないような仕組みが目には備わっていますので、眼球組織の血液量が増えて眼圧が上昇するという心配はありません。

もちろん高血圧は動脈硬化などの原因となりますので、しっかりとした治療が必要ですが、

高血圧が眼圧を高め、緑内障発症・進行させるということはありませんので、ご安心ください。

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