マイボーム腺機能不全に対する治療薬の開発
マイボーム腺はまつ毛の根元付近に開口部がある皮脂腺で、上眼瞼に30~40個、下眼瞼に20~30個存在し、涙の表面をコーテイングする脂質を産生します。涙の表面の脂質は、涙の蒸発を抑制し、目が乾かないようにしています。
マイボーム腺機能不全になると、マイボーム腺から分泌される脂質の量や質が低下し、涙が蒸発しやすくなるためドライアイを発症します。ドライアイ患者さんの80%以上にマイボーム腺機能不全があると報告されています。
加齢に伴いマイボーム腺の萎縮や脱落が生じるため、マイボーム腺機能不全は加齢とともにその発生頻度が高まります。
しかし、どのようなメカニズムでマイボームの萎縮・脱落が生じるかについては分かっていません。
今回の研究チームは老化のメカニズム解明の一環としてマイボーム腺が産生するステロイドホルモンに着目し、マウスを用いて研究を行いました。
その結果、マイボーム腺が産生するステロイドホルモンがマイボーム腺に作用し、機能の維持やメンテナンスに関わっていること、マイボーム腺のステロイドホルモン産生が低下するとマイボーム腺が萎縮することが明らかとなりました。
さらに、マイボーム腺がステロイドホルモンを産生するのに必要な物質が加齢に伴い減少していること、この物質を補うことでマイボーム腺の萎縮が回復し、ドライアイが緩和されることを明らかにしました。
今回の研究はマウスが対象となっていますが、ヒトでも今回補った物質がマイボーム腺のステロイドホルモン産生に必要と考えられており、今後、ヒトのドライアイ治療への応用が期待されます。
ただ臨床現場で使用可能となるためには、薬剤の安全性や有効性の検証が求められるため、新薬の登場には時間がかかります。
カテゴリー
- お知らせ (16)
- ブログ (456)
- iPS細胞 (19)
- IT眼症 (9)
- OCTアンギオ (9)
- アルツハイマー病 (8)
- アレルギー性結膜炎 (5)
- お困りごと解決情報 (17)
- こんな症状が出たら (35)
- サプリメント (15)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (17)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (15)
- 加齢黄斑変性 (112)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (2)
- 白内障 (25)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (12)
- 糖尿病網膜症 (53)
- 紫外線 (2)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (3)
- 網膜剥離 (17)
- 網膜動脈閉塞 (8)
- 網膜色素変性症 (7)
- 網膜静脈閉塞 (13)
- 緑内障 (32)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (28)
- 近況報告 (84)
- 近視予防 (42)
- 飛蚊症・光視症 (16)
- 黄斑円孔 (4)
- 黄斑前膜 (3)
- 未分類 (11)
アーカイブ
最新の記事
- 2026.4.5
- 「目の検査で認知症がわかる?」最先端AI研究が示す新しい可能性
- 2026.3.29
- ご依頼いただいた原稿が「眼科ケア 4月号」掲載されました
- 2026.3.23
- 硝子体出血は「様子を見る」べきか それとも手術か
- 2026.3.16
- 3月25日(水)・4月18日(土)の診療について
- 2026.3.15
- たばこと加齢黄斑変性 ― 日本の30年データが教えてくれること
- 2026.3.8
- 目の血管は、体の未来を映す鏡―最新の眼底検査から見えてきた“全身とのつながり”―
- 2026.3.1
- 「遺伝だから仕方ない」は本当? 加齢黄斑変性と生活習慣の大切な関係
- 2026.2.22
- 「去年たくさん進んだから、今年も進む?」-広がる子どもの視力低下と、今できること-
- 2026.2.14
- 萎縮型加齢黄斑変性に、いま治療という選択肢を:アイザベイが示す新しい可能性と治療を勧めたい患者さん像
- 2026.2.9
- 令和8年2月9日(月)



理事長・院長