適度な運動の習慣が目の健康を保つ
新型コロナウイルス感染症の蔓延による外出自粛で、運動不足になりがちな日々が続いています。
適度な運動は、筋力低下を防ぎ、転倒予防につながりますし、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の予防にも効果的です。
実験では、マウスを1匹ずつ運動用の車輪が付いているゲージか付いていないゲージで飼育する、運動マウスと安静マウスの2グループに振り分けました。
車輪が付いているゲージでは、マウスが自らの意思で車輪を回して運動することができ、運動量は自動計測できるシステムになっています。
ゲージで4週間飼育した後、マウスの眼底に高出力レーザーで光凝固を行い、脈絡膜新生血管を誘発しました。
(高出力レーザーをマウスの眼底に照射すると、照射領域に脈絡膜新生血管が発生します。脈絡膜新生血管が原因で視機能が障害される加齢黄斑変性の実験モデルとして研究に汎用されています。)
レーザー施行後は、元のゲージに戻して7日間飼育した後、脈絡膜新生血管の大きさを計測しました。
その結果、運動マウスの脈絡膜新生血管の大きさは安静マウスと比べ45%も小さく、脈絡膜新生血管の増大が抑制されていました。
そこで次の実験として、レーザー照射の3日前からマウスを車輪付きゲージか車輪なしゲージで飼育し、レーザー施行後は元のゲージに戻して7日間飼育し、脈絡膜新生血管の大きさを計測しました。
その結果、運動マウスの脈絡膜新生血管の大きさは安静マウスと比べ明らかな違いが認められませんでした。
以上から、脈絡膜新生血管が誘発される以前から運動の習慣化が、脈絡膜新生血管の発育を抑制すると結論付けています。
今回はマウスを用いた研究ですが、人においても日々の適度な運動の習慣が加齢黄斑変性の発症・進行予防に寄与する可能性が示唆されます。
運動の習慣を有する方は、運動の習慣がない方と比べ、緑内障の発症リスクが25%軽減されるという報告や、運動の習慣が緑内障治療につながる眼圧下降や視神経の血流改善に有効であることも報告されています。
さらに日々の適度な運動は、糖尿病患者の血糖コントロールを改善させ、糖尿病網膜症の発症・悪化リスクを低下させます。
世界保健機構(WHO)や米国疾病予防管理センター(CDC)は、適度な運動習慣として、週に150分間の有酸素運動を推奨しています。
ウオーキング、水泳、サイクリングはお勧めですが、コロナ禍においては室内での有酸素運動を行ってみてはいかがでしょうか。
適度な運動の習慣は体の健康のみならず、目の健康維持にも有効です。
カテゴリー
- お知らせ (12)
- ブログ (478)
- iPS細胞 (19)
- IT眼症 (9)
- OCTアンギオ (9)
- アルツハイマー病 (8)
- アレルギー性結膜炎 (5)
- お困りごと解決情報 (17)
- こんな症状が出たら (36)
- サプリメント (16)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (17)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (16)
- 加齢黄斑変性 (118)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (2)
- 白内障 (28)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (12)
- 糖尿病網膜症 (56)
- 紫外線 (3)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (4)
- 網膜剥離 (17)
- 網膜動脈閉塞 (8)
- 網膜色素変性症 (7)
- 網膜静脈閉塞 (15)
- 緑内障 (38)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (31)
- 近況報告 (90)
- 近視予防 (43)
- 飛蚊症・光視症 (16)
- 黄斑円孔 (5)
- 黄斑前膜 (3)
- 未分類 (12)
アーカイブ
最新の記事
- 2026.9.20
- 「見える時間」を、少しでも長く―地図状萎縮の治療と検査の進歩
- 2026.9.13
- 網膜静脈閉塞症の黄斑浮腫は、治療を先延ばしにしないことが大切です
- 2026.9.5
- 年齢を重ねると「目のゴミ処理能力」が落ちる? ~最新研究が明らかにした加齢黄斑変性との関係~
- 2026.9.3
- 令和8年10月8日(木)〜10月13日(火) 休診いたします
- 2026.9.3
- 令和8年9月30日(水)診療について
- 2026.8.30
- 甲状腺眼症の治療が変わる?―眼球突出を改善する新しい治療薬
- 2026.8.23
- 管楽器を吹くと眼圧が上がる?
- 2026.8.9
- 「先生、目に良い食べ物はありますか?」~最新研究から分かった、加齢黄斑変性と食事の関係~
- 2026.8.3
- 「目」と「体」、そして笑顔が健康寿命を支える~北見市民公開講座で感じた大切なこと~
- 2026.7.23
- HTBでもお話しした「白内障」~これからの日本でますます大切になる目の健康~



理事長・院長