ブロルシズマブ 加齢黄斑変性の新薬
滲出型加齢黄斑変性に対するブロルシズマブの有効性を検証した国際共同臨床試験(HAWK試験とHARRIER試験)の結果が、Ophthalmologyの電子版に掲載されました。
4月のブログで紹介しましたように、ブロルシズマブはスイスに本社のある製薬会社、ノバルテイスファーマが開発し、日本での使用許可を得るために、厚生労働省に承認申請を行っている薬剤です。
ブロルシズマブは現在治療に使われている薬剤と比べ大量の薬を眼内に投与することができ、さらに網膜や脈絡膜への薬剤移行も良いため、薬の効果が長期間持続し、投与間隔の延長・回数の減少が期待されます。
国際共同臨床試験では既存の薬剤と比べ、投与間隔を延長しても良好な治療効果を得ることができました。
ブロシズマブで治療された約半数の患者さんは、3カ月に1回の治療で病状を沈静化させ、治療で改善した視力を維持することができました。(比較対照となった既存の治療薬は2カ月毎の投与でした。)
滲出型加齢黄斑変性に対する治療は、長年にわたり継続することが必要で、
治療の中断は病状の再発を招き、治療を再開しても改善しない視機能低下をもたらすことがあります。
しかし治療の継続は患者さんにとっても、付き添われるご家族にとっても大きな負担となります。
治療間隔の延長によって治療回数・通院回数が減りますので、患者さんやご家族の負担減少に直結します。
順調に手続きが進むと、ブロルシズマブは来年春ころに保険診療での使用が可能になるのではと期待されています。
カテゴリー
- お知らせ (34)
- ブログ (362)
- iPS細胞 (17)
- IT眼症 (8)
- OCTアンギオ (5)
- アルツハイマー病 (7)
- アレルギー性結膜炎 (5)
- お困りごと解決情報 (17)
- こんな症状が出たら (34)
- サプリメント (12)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (14)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (12)
- 加齢黄斑変性 (85)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (1)
- 白内障 (17)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (11)
- 糖尿病網膜症 (35)
- 紫外線 (1)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (2)
- 網膜剥離 (13)
- 網膜動脈閉塞 (7)
- 網膜色素変性症 (7)
- 網膜静脈閉塞 (10)
- 緑内障 (24)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (24)
- 近況報告 (75)
- 近視予防 (30)
- 飛蚊症・光視症 (13)
- 黄斑円孔 (4)
- 黄斑前膜 (2)
- 未分類 (8)
アーカイブ
最新の記事
- 2024.4.29
- 赤色治療(Low-Level Red Light, LLRL)が近視進行を予防
- 2024.4.19
- 目に良い食べ物と栄養素
- 2024.4.13
- 高校生のインターネット利用時間が1日6時間超 近視予防対策が急務
- 2024.4.7
- 北大病院手術室のスタッフをお招きし、医療安全と感染対策の院内研修を行いました
- 2024.3.31
- 加齢黄斑変性のサプリメントは有効性と安全性が検証されています
- 2024.3.23
- ミノサイクリンは萎縮型加齢黄斑変性の治療薬になり得るか?
- 2024.3.15
- 白内障に関する患者様からのご質問
- 2024.3.8
- 眼科健診はどのタイミングで受けると良いのでしょうか?
- 2024.3.2
- 萎縮型加齢黄斑変性の治療薬剤:SyfovreとIzervay
- 2024.2.18
- 若年者の裂孔原性網膜剥離