全国の眼科医が集まる「日本眼科医会代議員会」に参加しました
令和8年6月27日と28日、日本眼科医会の定時代議員会に参加しました。
本来は現地(東京)で参加する予定でしたが、台風による交通機関への影響が懸念されたため、安全を優先してWEBで参加しました。
代議員会というと難しく聞こえるかもしれませんが、日本全国の眼科医の代表が集まり、「これからの眼科医療をより良くするためには何が必要か」を話し合う大切な会議です。
私は北海道ブロックの代議員として参加し、自ら質問を行うとともに、他の先生方の質問に対しても追加質問を行いました。
今回の議論は、一般の皆さんにも関係するテーマが数多くありました。
例えば、
・子どもの近視対策
・職場健診への眼底検査
・災害時の眼科医療
・オンライン診療
・医療DX(電子カルテ)
・ロービジョンケア
・視覚障害者支援
・眼鏡作製技能士との連携
など、普段ニュースではあまり取り上げられない内容について活発な議論が行われました。
私が質問したテーマは「災害対策」です。
近年は能登半島地震をはじめ、大規模災害が全国各地で発生しています。
災害時には、コンタクトレンズや眼鏡を失った方、緑内障などで点眼薬が必要な方、目のけがを負った方など、多くの眼科医療ニーズが生じます。
昨年度は北海道が日本眼科医会の災害対策シミュレーションを担当し、安否確認や情報共有の仕組みを検証しました。
その経験を踏まえ、「次の段階として、より実践的な訓練へ発展させるべきではないか」と提案しました。
答弁では、避難所診療や行政・関連団体との合同訓練など、さらに実践的なシミュレーションへ発展させる方針が示されました。
また、他の先生方の質問では、オンライン診療についても議論がありました。
人口減少や医師不足が進む地域では、オンライン診療の活用が期待されています。
しかし眼科では、視力検査や眼圧測定、細隙灯顕微鏡検査、眼底検査など特殊な検査が欠かせません。
そのため、単純にスマートフォンだけで診療することは難しく、看護師や視能訓練士、地域の医療機関と連携した新しい診療体制が必要であることが確認されました。
さらに、AIを活用した診療支援についても今後重要になることから、その方向性について追加質問を行いました。
もう一つ印象的だったのは、子どもの近視対策です。
現在、近視を抑える点眼薬や特殊なコンタクトレンズ、近視管理用眼鏡など、新しい治療法が次々と登場しています。
一方で、費用負担や制度上の課題も多く、国としてどのように支援していくかが議論されました。
近視は単に眼鏡が必要になるだけではなく、将来、緑内障や網膜剥離、加齢黄斑変性などのリスクにも関わるため、社会全体で取り組むべき課題として位置付けられつつあります。
診察室では、一人ひとりの患者さんを診療しています。
一方で、このような代議員会では、全国の眼科医療の課題を共有し、制度や医療環境をより良くするための議論を行っています。
患者さんに安心して医療を受けていただくためには、目の前の診療だけではなく、こうした活動も眼科医の大切な役割の一つです。
これからも北海道ブロックの代議員として、地域の現場の声を全国へ届けるとともに、全国で得られた知見を北海道の眼科医療へ還元していきたいと思います。
カテゴリー
- お知らせ (11)
- ブログ (466)
- iPS細胞 (19)
- IT眼症 (9)
- OCTアンギオ (9)
- アルツハイマー病 (8)
- アレルギー性結膜炎 (5)
- お困りごと解決情報 (17)
- こんな症状が出たら (35)
- サプリメント (15)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (17)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (15)
- 加齢黄斑変性 (114)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (2)
- 白内障 (25)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (12)
- 糖尿病網膜症 (55)
- 紫外線 (2)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (4)
- 網膜剥離 (17)
- 網膜動脈閉塞 (8)
- 網膜色素変性症 (7)
- 網膜静脈閉塞 (14)
- 緑内障 (34)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (28)
- 近況報告 (86)
- 近視予防 (43)
- 飛蚊症・光視症 (16)
- 黄斑円孔 (5)
- 黄斑前膜 (3)
- 未分類 (12)
アーカイブ
最新の記事
- 2026.6.28
- 全国の眼科医が集まる「日本眼科医会代議員会」に参加しました
- 2026.6.21
- 強い近視の方は緑内障に注意? ― 日本1400万人超の大規模研究からわかったこと
- 2026.6.14
- 「視力は良いのに見えにくい」― 網膜前膜で最初に低下するのは“読む力”かもしれません
- 2026.6.6
- 見えないところこそ大切に ― 手術室の空気環境を毎年確認しています
- 2026.5.31
- 白内障手術と同時に行う「iStent inject W」とは? ─ 最近の研究から見えてきたこと
- 2026.5.24
- 網膜の神経を守る“縁の下の力持ち” ― ミュラー細胞と新しい網膜保護の考え方
- 2026.5.16
- 「治療を休むと戻らない」―糖尿病黄斑浮腫で本当に怖いこと―
- 2026.5.14
- 眼瞼下垂に対するアップニーク®ミニ点眼液について
- 2026.5.9
- 「高い枕は目に良い?」― 緑内障と寝る姿勢の意外な関係
- 2026.5.4
- 5月1日、開業から10年が経ちました



理事長・院長