目のかすみ
- 「目がかすむ」と訴え、来院される患者さんがおられます。
- さらに詳しく尋ねると、「物がぼやける」「ピントが合いにくい」「輪郭がダブって見える」などと仰しゃいます。
- 原因は大きく分けて2つ。
- 一つは、ピント調節をしている筋肉(毛様体筋)の疲れです。
- もう一つは、白内障や緑内障など病気による視機能の低下です。
- 物を見る時、虹彩(茶目)の根元付近にある「毛様体筋」が伸びたり・縮んだりして、ピントを合わせています。
- スマートフォンやパソコン作業など、近くの作業を長時間続けると、毛様体筋の緊張状態が持続するため、毛様体筋が疲労してしまいます。
- その結果、ピント調節がうまくいかず、視界がかすむことがあるのです。
- レンズ度数の合わないメガネやコンタクトレンズは、毛様体筋に余計な負担をかけますので、毛様体筋が疲れ、かすみ目の原因となります。
- 強すぎる近視の眼鏡やコンタクトレンズ、低矯正の老眼鏡は毛様体筋を疲労させます。
- 当院には、毛様体筋の調節力を測定する器械があり、毛様体筋の疲れ具合を評価することができます。
- 毛様体筋の疲れによるかすみ目に対しては、目を休めることが根本的治療となりますが、そうもいかないのが現代社会です。
- 毛様体筋の働きを手助けするビタミンB12や毛様体筋を休息させる作用のある点眼薬を使用したり、目の周りを温めて血行を促進させるのも良いでしょう。40~42℃くらいの蒸しタオルを5分ほど目の周りに当てておきましょう。
- もちろん、度数の合わない眼鏡やコンタクトレンズは、作り直す必要があります。
- 老眼は年齢に伴い進行しますので、老眼鏡は3年に1度くらいのペースで作り直すのがお勧めです。
- 一方、病気がかすみ目の原因となっている場合は、病気に対する治療が必要です。
- 例えばドライアイでは目の表面を潤す涙の膜が不安定となり、かすみ目の原因となります。目の表面の潤いを補い、涙膜の安定性を向上させる作用の点眼薬が症状の改善に有効です。
- 白内障や緑内障、糖尿病網膜症は、ゆっくりと病状が進行するため、自覚症状に乏しく、視機能が悪化するまで気づきにくい病気です。
- 病気による視機能の低下が、かすみ感を生じさせます。
- 治療の遅れは、機能回復・症状改善を妨げる危険性があります。
- 早期発見・早期治療が大切です。
- かすみ目を自覚したら、まず眼科を受診し、かすみ目の原因を明らかにし、原因ごとの治療・対策を行うことが、症状改善の第一歩です。
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