緑内障って手術できないの?
- 今回は患者さんから時々いただくご質問、「緑内障って手術できないんでしょ?」に対し、お答えしたと思います。
- 緑内障は、目に入ってきた情報を脳に伝える役目をしている視神経が、目から脳への出口付近で障害を受け、視野(見える範囲)が狭くなる病気です。
- 通常、ゆっくりと進行し、少しずつ見える範囲が狭くなっていきます。
- 現時点では、障害を受けた視神経の働きを回復させる治療法はありません。
- 眼内の圧力(眼圧)を下げることで、進行を抑えたり、遅くすることができます。
- 治療すると緑内障による障害(視野障害)がすっかり治ったり、二度と緑内障にならないというような治療法は、残念ながらありません。
- 緑内障治療では眼圧を下げ、視野障害の進行を抑えることが目的となります。
- さらに言うと、視野障害の進行を抑制できる眼圧レベルまで患者さんの眼圧を下降させ、その眼圧レベルを維持することが緑内障治療では求められます。
- 目標の眼圧レベルは、視野障害の進行状況などにより患者さんごとに違ってきます。正常値であれば大丈夫と言ったものではありません。
- 眼圧下降治療の第一選択は点眼薬です。治療経過によっては作用機序の異なる複数の点眼薬を使用し、眼圧を目標レベルにコントロールします。
- 点眼薬による治療では眼圧コントロールが不十分な時、眼圧を下降させる手術が適応となります。
- 病気に対する治療の基本は、「患者の負担をできるだけ軽減し、効果的な治療を行う」ことです。
- 手術は点眼薬よりも負担や侵襲の大きな治療法ですので、治療法の選択順番としては点眼薬の次ということになります。
- 緑内障に対する治療法として、手術はあります。
- ただ、完治を目指す手術ではなく、眼圧を下降させ、視野障害の進行を抑制するために行う手術です。
- 一般的に手術には「手術を受ければ治る」というイメージがあるかと思います。
- 例えば、白内障手術を受けると白内障は治ります。
- この点において、緑内障手術は一般的な手術のイメージとは異なります。
- 緑内障は、一生付き合っていかなくてはならない病気です。
- 根気よく治療を続けていくことが大切です。
- 一度失った視野は元には戻らないため、早期発見・早期治療も大切です。
カテゴリー
- お知らせ (12)
- ブログ (438)
- iPS細胞 (19)
- IT眼症 (9)
- OCTアンギオ (8)
- アルツハイマー病 (7)
- アレルギー性結膜炎 (5)
- お困りごと解決情報 (17)
- こんな症状が出たら (35)
- サプリメント (14)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (17)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (14)
- 加齢黄斑変性 (107)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (2)
- 白内障 (22)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (12)
- 糖尿病網膜症 (51)
- 紫外線 (2)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (3)
- 網膜剥離 (16)
- 網膜動脈閉塞 (8)
- 網膜色素変性症 (7)
- 網膜静脈閉塞 (12)
- 緑内障 (29)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (28)
- 近況報告 (83)
- 近視予防 (39)
- 飛蚊症・光視症 (15)
- 黄斑円孔 (4)
- 黄斑前膜 (3)
- 未分類 (10)
アーカイブ
最新の記事
- 2025.11.22
- 65歳以上の成人のための眼の健康情報
- 2025.11.16
- 「暗闇になじむまでが長い」はサイン? “暗順応”でわかる加齢黄斑変性の早期リスク
- 2025.11.8
- 内服薬で“黄斑”が傷む?最新研究が示した5つの要注意薬と上手なつきあい方
- 2025.11.1
- 網膜剥離は「防げる失明」:合図を知って、早く受診を
- 2025.10.26
- 「血糖だけ」じゃ足りない。低血糖も怖い: J-DOIT3が教える、網膜症予防の新常識
- 2025.10.17
- 点眼で加齢黄斑変性は治せる?最新研究が教えてくれる「期待」と「限界」
- 2025.10.11
- 散瞳検査と急性緑内障発作のリスク~瞳を広げる検査は安全なの?~
- 2025.10.3
- 飛蚊症や光が見えたら…「網膜剥離」になる前に知っておきたい目のサイン
- 2025.10.2
- 眼科疾患のリスク因子、診断・治療・予後の検討のための後ろ向き観察研究
- 2025.9.27
- 「進行は止められるのか?」─地図状萎縮の新治療と、患者たちの選択



理事長・院長