肥厚脈絡膜の関連疾患
- 2019.1.28
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- 中心性漿液性網脈絡膜症
- 加齢黄斑変性
- 最近、中心性漿液性網脈絡膜症という病気が治らず長引いた患者さんや再発した患者さん、その後に加齢黄斑変性を発症した患者さんを紹介いただくことが増えています。
- 中心性漿液性網脈絡膜症は中年の男性に多い病気です。
- 網膜の中心部である黄斑に、血管から漏れ出した血液成分が溜まり、視界の中心部が見えにくくなります。
- 黄斑に溜まった血液成分は、通常3ヶ月ほどで自然に吸収されます。
- 稀に吸収が悪く血液成分の溜まりが持続したり、吸収後に再発することがあります。
- このような患者さんでは、視力低下や変視などの症状が悪化します。
- 実はこの中心性漿液性網脈絡膜症。網膜や黄斑疾患の専門家の間で最近話題の病気なのです。
- 中心性漿液性網脈絡膜症や日本人に多いタイプの加齢黄斑変性(ポリープ状脈絡膜血管症)では、網膜の外側にある脈絡膜という部分が分厚く肥厚していることが知られていました。
- また、中心性漿液性網脈絡膜症の既往がある患者さんの中に、ポリープ状脈絡膜血管症を発症する方がおられることも知られていました。
- ニューヨークの眼科グループが、これらの病気についての新たな疾患概念を2015年に打ち出したのです。
- 肥厚した脈絡膜が誘因となり、網膜と脈絡膜の境目にある脈絡膜毛細血管板や網膜色素上皮にダメージが生じ、そこから脈絡膜側の血液成分が黄斑に溜まり中心性漿液性脈絡網膜症を発症する。
- さらに長期経過で網膜色素上皮の下に脈絡膜新生血管が生じ、やがてポリープ状脈絡膜血管症へと進展することを報告しました。
- ですから現在では、初期の網膜色素上皮障害や中心性漿液性網脈絡膜症、網膜色素上皮下の脈絡膜新生血管、そしてポリープ状脈絡膜血管症は、肥厚した脈絡膜が原因となり発症する関連疾患と考えられるようになりました。
- 新たな疾患概念の確立には、光干渉断層計(OCT)やOCTアンジオグラフィー(OCTA)といった眼科検査機器の進歩が貢献しています。
- OCTAは従来の造影検査と比べ、網膜色素上皮下の脈絡膜新生血管をきれいに描出することができます。
- したがって、肥厚脈絡膜関連疾患の進行状況も診断しやすくなったのです。
- ちなみに、欧米人に多いタイプの加齢黄斑変性では、逆に脈絡膜は薄いのです。
- 脈絡膜肥厚の病態解明など、話題は尽きない領域です。
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