加齢黄斑変性—治療中断
- 米国医師会から出版されているJAMA Ophthalmologyの11月号に、滲出型加齢黄斑変性に対する眼内注射治療(抗血管内皮増殖因子療法)中に来院が途絶えた患者に関する論文が掲載されました。
- 研究対象者は米国で治療が行われた9007人。
- 平均年齢は81歳で、日本の患者さんよりはご高齢な印象です。
- 女性は5917人(65.7%)。加齢黄斑変性は、欧米では女性の方が男性よりも多く、日本では男性の方が多いと報告されています。
- この研究では実に2003人(22.2%)の患者さんの通院が途絶えてしまいました。
- 5人に1人というのは、残念ながら驚くほどの高値です。
- さらに通院途絶の割合はご高齢になるほど高く、医療機関から遠くにお住いの患者さん、片眼のみ罹患している患者さんも通院が途絶しやすいことが報告されました。
- ご高齢の患者さんの通院にはご家族の支援が必要な事が多く、医療機関が遠いとさらに支援を要する事になります。
- 何より通院に時間がかかるのは不便です。体力的にも負担です。
- 片方の目が見えていると、罹患眼への治療意欲が低くなるようです。
- ただ、良かった眼も経過中に治療を要する状態になる可能性が高いのが加齢黄斑変性です。
- 加齢黄斑変性は放置すると進行する疾患です。
- 長期の治療、経過観察が視機能の改善・維持に大切です。
- 通院途絶は、治療で改善した視機能が低下する危険性があります。
- 患者さんは年齢や眼の状態、居住地や体調など、お一人お一人異なります。
- 患者さんやご家族の負担を軽減しながら治療効果を長期的に維持する個別化治療が必要です。
カテゴリー
- お知らせ (42)
- ブログ (398)
- iPS細胞 (18)
- IT眼症 (8)
- OCTアンギオ (6)
- アルツハイマー病 (7)
- アレルギー性結膜炎 (5)
- お困りごと解決情報 (17)
- こんな症状が出たら (34)
- サプリメント (13)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (15)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (14)
- 加齢黄斑変性 (95)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (1)
- 白内障 (19)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (11)
- 糖尿病網膜症 (40)
- 紫外線 (2)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (2)
- 網膜剥離 (14)
- 網膜動脈閉塞 (7)
- 網膜色素変性症 (7)
- 網膜静脈閉塞 (11)
- 緑内障 (26)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (27)
- 近況報告 (82)
- 近視予防 (34)
- 飛蚊症・光視症 (14)
- 黄斑円孔 (4)
- 黄斑前膜 (2)
- 未分類 (8)
アーカイブ
最新の記事
- 2025.2.8
- 加齢黄斑変性と抗凝固薬
- 2025.2.3
- iPS細胞由来立体網膜シートによる網膜色素変性症治療
- 2025.1.26
- 初期・中期加齢黄斑変性に対するフォトバイオモジュレーション
- 2025.1.19
- 笑いがドライアイの治療になる
- 2025.1.13
- 後天性眼瞼下垂の点眼治療剤
- 2025.1.6
- 大阪・関西万博 大阪ヘルスケアパビリオン
- 2024.12.28
- 画竜点睛(がりょうてんせい)
- 2024.12.19
- グリシン内服が近視進行を抑制?
- 2024.12.15
- 糖尿病治療薬SGLT2阻害薬は糖尿病網膜症の進行を抑える効果がある
- 2024.12.3
- 令和6年12月27日(金) 午前・午後診察します