猫ひっかき病
- 2018.8.17
- ブログ
- 先日、複数の報道番組が「アメリカの男性が飼い犬に舐められたことをきっかけに手足を切断する事態となった。」というニュースを報じました。
- 犬や猫の口の中に常在するカニモルサス菌が人の指先などの傷口から感染し、全身に炎症が広がり、血管が詰まることで組織障害が拡大し、手足の切断に至るケースがあるようです。
- 日本の犬や猫も高率にカニモルサス菌を保有しているとのことです。
- 今回の症例は急激に重篤な病状に陥ったようですので、眼への影響については報じられていませんが、過去の報告例によりますと、眼にも炎症が波及する症例があるようです。
- 眼科領域では、犬や猫などのペットに噛まれたり引っ掻かれたりすることで発症する病気として、「猫ひっかき病」が有名です。
- 猫ひっかき病は、バルトネラ菌というペットの口の中や爪の内側に常在する細菌が原因です。
- 症状は主にリンパ節の炎症で、犬や猫に引っ掻かれた後10日頃から傷が赤く腫れ、リンパ節が腫れ上がります。微熱や全身倦怠、関節痛などの症状がみられます。
- 眼の合併症として、耳前リンパ節の腫脹を伴う結膜炎や視神経網膜炎、ぶどう膜炎を発症することがあります。視神経や網膜・ぶどう膜を栄養する血管に炎症が起こります。
- 眼内の炎症が強くなると、視力低下など視機能に大きな障害をもたらします。
- 眼の炎症は、血流を介しバルトネラ菌が眼内に侵入したことが原因ではなく、細菌を排除しようとするカラダの免疫反応が、眼内において特異的に血管炎として現れると推測されています。
- 従って、免疫反応を抑える効果を有するステロイド剤が、猫ひっかき病の眼内炎症に対する治療薬として有効です。
- ペットと暮らす家庭が増えている昨今です。
- 病気の始まりは風邪に似た症状です。
- いつもと違う風邪症状の時はご注意ください。
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