新たな血糖測定装置
- 8月18日、小さな装置の上に指を置くだけでレーザーが血糖値を測定する技術を開発したと、量子科学技術研究開発機構関西光科学研究所のチームが発表しました。
- 採血せずに血糖値を測定できるため、実用化されれば糖尿病患者さんの負担が減ります。来年度から臨床研究が始まり、5年後の実用化を目指すそうです。
- 現在の血糖測定器は指先に針を刺してわずかな血を採り、小型センサーで血糖値を測る測定器が主流です。
- 針を指先に刺しますので痛みを伴います。刺すことにより小さな傷ができますので、細菌への抵抗力が低下している糖尿病患者さんにとっては、細菌感染の危険性があります。
- また、採血に使う特殊な針の交換などで年間約20万円かかる費用も患者さんには負担になります。
- 毎日何度か血糖値測定をしている糖尿病患者が多数おられますので、本装置の実用化が切望されます。
- 血糖測定装置についてもう一つ。
- 昨年12月1日、アボットジャパンは、医師が糖尿病患者さんの上腕に装着することで、15分おきに血糖値がセンサーに記録され、最長14日分を保存することができる装置の販売開始を発表しました。
- この装置では、腕に貼り付けたパッチに機器をかざすだけで血糖値の測定ができます。指先に針を指す必要がありませんので、痛みはなく、いつでもどこでも測定が可能です。センサーをつけたまま入浴も可能とのことです。
- 残念ながら現時点では保険適応とはなっていません。
- 糖尿病網膜症は糖尿病になって数年〜10年ほどが経過してから発症します。
- 良好な血糖コントロールは糖尿病網膜症の発症を抑制しますし、
- 軽症の網膜症なら良好な血糖コントロールで網膜症が消失することもあります。
- さらに最近、低血糖や血糖値の過度な変動が全身的にも網膜症にも良くないことが分かってきました。
- ですから目にとっても血糖値の管理はとても大切です。
- 患者さん自らが血糖値の日内変動をモニターすることで、内科の先生が投薬を調節するための大切な情報が得られ、より精度の高い血糖コントロールが可能になります。
- その結果、糖尿病網膜症の発症予防や軽症化につながると思われます。
- 患者さんにとって負担なく血糖値をモニターできる装置の実用化、普及が待たれます。
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