3歳児健診
2024.10.9 ブログ
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高強度の運動習慣が中心性漿液性網脈絡膜症の発症リスクを高めるというイタリアの研究チームの論文が、Am J Ophthalmolの電子版に掲載されました。
中心性漿液性網脈絡膜症は、網膜中央部の黄斑部網膜下に、網膜の外側にある脈絡膜から血液成分が漏れ出しドーム状に貯まる(漿液性網膜剥離)疾患です。
30~40代の男性に多く、片眼のみに発症することがほとんどです。
見ようとする所が暗く感じ、物が歪んだり、他眼よりも小さく見えるといった症状が現れます。
脈絡膜の循環障害により脈絡膜血管が拡張し、網膜と脈絡膜を仕切る網膜色素上皮細胞の働きが悪くなり、脈絡膜から血液成分が網膜下に染み出し、黄斑部に漿液性網膜剥離が生じます。
今回の論文では、中心性漿液性網脈絡膜症患者105例と健常者105例を対象に、質問票を用いて運動の実施状況を評価しました。
その結果、中心性漿液性網脈絡膜症患者では健常者と比べ、強度の高い運動を高頻度に行なっていることが明らかになりました。
特に、ウエイトリフティングやベンチプレスのような筋トレと自転車漕ぎを行っている患者が高頻度でした。
論文では、高強度の運動習慣が中心性漿液性網脈絡膜症の発症リスクを高める機序として以下のように考察しています。
・ウエイトリフティングやベンチプレスのような筋トレと自転車漕ぎはいずれも等尺性収縮運動のため、極度に血圧が上昇する瞬間がある。
・運動中に繰り返される極度の血圧上昇が脈絡膜血管に影響を与え、脈絡膜循環障害から血管が拡張し、中心性漿液性網脈絡膜症を発症しやすくなる。
適度な運動は生活習慣病の予防や心肺機能の向上など、健康増進に有効であることは周知の事実です。
この研究は質問票による調査ですので、質問票の答えは回答者の判断により左右されます。
また、この研究では、中心性漿液性網脈絡膜症の発症に影響を与える他の要因との関係については考慮されていません。
どれくらいの運動強度で、どれくらいの時間、期間、頻度でどのような運動をすると脈絡膜血管に影響を及ぼすのかなどの検討が必要かと思います。
高強度の運動習慣が中心性漿液性網脈絡膜症の発症リスクを高めると結論づけるためには、更なるデータ収集を要します。