2022年 ARVO 年次総会
2022年のARVO(The Association for Research in Vision and Ophthalmology 視覚と眼科学研究協会)の年次総会が、5月1日〜4日、米国デンバー市で開催されました。
ARVOの年次総会は、眼科領域の研究を行なっている世界中の研究者・眼科医が集う学会で、眼科研究の発表を行う学会としては、参加者数や発表される演題数ともに世界最大規模です。
今年の年次総会は現地でのリアル開催に加え、講演がリアルタイムでWEB配信され、さらに5月11日からはオンデマンド配信されました。
年次総会初日はリアルタイムでのWEB配信を視聴したのですが、デンバーと日本の時差は15時間あり昼夜が逆転していますので、継続は断念し、5月11日からのオンデマンド配信を聴講しました。
世界最大規模の眼科領域の学会ですので、演題内容は多岐にわたっていますが、網膜疾患に対する新たな薬剤開発についての報告がありました。
現在、滲出型加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫などの網膜疾患疾患に対しては、血管内皮増殖因子(VEGF)というタンパク質の働きを抑える薬剤を治療に用いています。
5月末には、血管内皮増殖因子(VEGF)とアンギオポエチン2(Ang-2)の2種類のタンパク質の働きを抑える薬剤が日本でも使用可能となります。
今回の新たな薬剤についての講演は、セマフォリン3Aというタンパク質を標的とした薬剤の安全性についての報告で、
糖尿病網膜症で閉塞した網膜毛細血管の血流再開を目的に新規開発中の薬剤を眼内に注射し、合併症がなかったというもので、薬剤の効果については今後の研究結果を待たねばなりません。
網膜毛細血管の閉塞が改善したり、予防することができれば、糖尿病網膜症の治療薬となります。
現在は糖尿病網膜症に対する有効な治療薬はありませんので、新薬の有効性が確認されると、糖尿病網膜症治療の大きな進歩になります。
カテゴリー
- お知らせ (12)
- ブログ (437)
- iPS細胞 (19)
- IT眼症 (9)
- OCTアンギオ (8)
- アルツハイマー病 (7)
- アレルギー性結膜炎 (5)
- お困りごと解決情報 (17)
- こんな症状が出たら (35)
- サプリメント (14)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (17)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (14)
- 加齢黄斑変性 (106)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (2)
- 白内障 (21)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (12)
- 糖尿病網膜症 (50)
- 紫外線 (2)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (3)
- 網膜剥離 (16)
- 網膜動脈閉塞 (8)
- 網膜色素変性症 (7)
- 網膜静脈閉塞 (12)
- 緑内障 (28)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (28)
- 近況報告 (83)
- 近視予防 (39)
- 飛蚊症・光視症 (15)
- 黄斑円孔 (4)
- 黄斑前膜 (3)
- 未分類 (10)
アーカイブ
最新の記事
- 2025.11.16
- 「暗闇になじむまでが長い」はサイン? “暗順応”でわかる加齢黄斑変性の早期リスク
- 2025.11.8
- 内服薬で“黄斑”が傷む?最新研究が示した5つの要注意薬と上手なつきあい方
- 2025.11.1
- 網膜剥離は「防げる失明」:合図を知って、早く受診を
- 2025.10.26
- 「血糖だけ」じゃ足りない。低血糖も怖い: J-DOIT3が教える、網膜症予防の新常識
- 2025.10.17
- 点眼で加齢黄斑変性は治せる?最新研究が教えてくれる「期待」と「限界」
- 2025.10.11
- 散瞳検査と急性緑内障発作のリスク~瞳を広げる検査は安全なの?~
- 2025.10.3
- 飛蚊症や光が見えたら…「網膜剥離」になる前に知っておきたい目のサイン
- 2025.10.2
- 眼科疾患のリスク因子、診断・治療・予後の検討のための後ろ向き観察研究
- 2025.9.27
- 「進行は止められるのか?」─地図状萎縮の新治療と、患者たちの選択
- 2025.9.20
- 萎縮型加齢黄斑変性に治療薬「アイザベイ」



理事長・院長