強度近視 網膜分離症
北海道新聞の11月17日(水)朝刊に、生活欄「みんなの相談室」に寄せられた網膜分離症に関するご相談に対する私の回答が掲載されました。

「みんなの相談室」は読者の方から寄せられた健康や病気についてのご質問にお答えするコーナーです。
今回は、強度近視による網膜分離症が原因で、数年前から「物がゆがんで見える」という症状が生じ、次第に視力も低下してきているというご相談です。
眼球が前後に長くなることで、近視が進行します。
強度近視の目はフットボールのような形になります。
眼球壁が伸びる際、網膜そのものは柔らかい組織なので伸びやすく、
網膜の裏の眼球壁組織と同様なスピードで伸びるのですが、
網膜血管と網膜表面(内境界膜)は硬くて伸びないため、網膜をテントのように引っ張ってしまい、その結果、網膜が内部で裂けてしまう網膜分離症が生じます。
強度近視の約1割にみられると報告されていて、物のが歪んで見える変視症や視力の低下がゆっくりと進行します。
網膜分離症が進行し、網膜の中心部分に小さな穴が開いてしまうと(黄斑円孔)、急に視力が低下し、さらに黄斑円孔網膜剥離へと進展してしまいます。
治療は硝子体手術を行い、網膜を引っ張っている内境界膜を剥離除去することで、網膜にかかる力を解除し、網膜の伸展性を改善させます。
術後、網膜分離は半年~1年かけてゆっくりと治っていき、症状も改善しますが、多少の歪みなどが残ります。
黄斑円孔が生じると、視機能が著しく悪化しまいますので、黄斑円孔のリスクが高くなる前の段階での手術が望ましいようです。
カテゴリー
- お知らせ (9)
- ブログ (409)
- iPS細胞 (18)
- IT眼症 (8)
- OCTアンギオ (8)
- アルツハイマー病 (7)
- アレルギー性結膜炎 (5)
- お困りごと解決情報 (17)
- こんな症状が出たら (34)
- サプリメント (13)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (15)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (14)
- 加齢黄斑変性 (98)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (1)
- 白内障 (19)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (11)
- 糖尿病網膜症 (43)
- 紫外線 (2)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (2)
- 網膜剥離 (14)
- 網膜動脈閉塞 (7)
- 網膜色素変性症 (7)
- 網膜静脈閉塞 (11)
- 緑内障 (26)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (27)
- 近況報告 (82)
- 近視予防 (38)
- 飛蚊症・光視症 (14)
- 黄斑円孔 (4)
- 黄斑前膜 (2)
- 未分類 (8)
アーカイブ
最新の記事
- 2025.4.30
- 小児近視進行抑制治療(リジュセア®ミニ点眼液0.025%)に関するよくあるご質問
- 2025.4.30
- 低濃度アトロピン点眼薬(リジュセアミニ点眼液)による近視進行抑制治療を開始します
- 2025.4.27
- 小児近視に対する赤色光治療に関する最新研究のご紹介
- 2025.4.23
- 新生血管型加齢黄斑変性の治療間隔ってどうやって決めてるの?
- 2025.4.15
- 糖尿病の“見えない”網膜の変化をキャッチする新技術
- 2025.4.6
- 糖尿病患者の血圧管理に新たな指針:厳格な血圧コントロールが心臓と目を守る
- 2025.3.31
- 令和7年ゴールデンウイークの診療について
- 2025.3.29
- 児童・生徒の近視進行を抑える点眼薬が日本でも使用可能に〜低濃度アトロピンとは?〜
- 2025.3.28
- クレジットカード利用時の「暗証番号」必須化について
- 2025.3.22
- 糖尿病網膜症の新しい治療法「ポートデリバリーシステム(PDS)」とは?