白内障
目の中の水晶体という透明な凸レンズが濁った状態が白内障です。
出生時に透明だった水晶体は、4歳頃から軽度の濁りが生じ、経年的に濁りが増加します。
初期の白内障では自覚症状がまったくありませんが、進行すると羞明や霧視、視力低下といった症状が現れます。
白内障の主要な原因は加齢ですが、糖尿病やアトピー性皮膚炎、強度近視、紫外線被爆なども白内障を促進させます。
白内障の予防には、眼内の活性酸素を減らし、酸化ストレスを軽減させることが有効であろうと考えられており、
ビタミンCやルテイン・ゼアキサンチンといった活性酸素を消去する物質を摂取し、白内障の予防効果を検証する研究がなされていますが、研究により結果にばらつきがあり、確証には至っていません。
現在のところ、濁った水晶体を透明な状態に戻すことはできません。
手術が唯一の治療法です。
ここ最近、進行した白内障の患者様を診察する機会が増えたように感じます(実は他の疾患も同様な傾向です)。
最近の研究で、白内障の放置が認知症の発症・進行を招いたり、日内リズに変調をきたし、睡眠障害やうつ病、動脈硬化のリスクを高めることが分かってきました。
進行した白内障は水晶体中央部分の濁りが硬くなります。手術ではこの硬い濁りを破砕し吸引・除去するのですが、柔らかい濁りと比べるとやや時間を要することとなり、目の組織への負担が高まります。
また、白内障が著しく進行すると、眼圧(目の中の圧力)が突然急激に上昇し、目の痛みや頭痛、吐き気や嘔吐などの症状がする、急性緑内障発作が起こる危険性高まります。
さらに、水晶体のタンパク質が溶け出し、目の中に強い炎症が起こることもあります。
白内障はゆっくりと進行し、徐々に視機能が低下して行くため、白内障の進行は自覚されにくいようですが、白内障の進行は視機能のみならず全身の機能に影響を与えます。
単なる老化現象だからと白内障を侮ってはいけません。
見え方に違和感を感じる方は、時期を見計らって眼科での検査を受けられてはいかがでしょうか。
カテゴリー
- お知らせ (36)
- ブログ (373)
- iPS細胞 (17)
- IT眼症 (8)
- OCTアンギオ (5)
- アルツハイマー病 (7)
- アレルギー性結膜炎 (5)
- お困りごと解決情報 (17)
- こんな症状が出たら (34)
- サプリメント (12)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (14)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (12)
- 加齢黄斑変性 (90)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (1)
- 白内障 (17)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (11)
- 糖尿病網膜症 (39)
- 紫外線 (2)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (2)
- 網膜剥離 (14)
- 網膜動脈閉塞 (7)
- 網膜色素変性症 (7)
- 網膜静脈閉塞 (10)
- 緑内障 (26)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (24)
- 近況報告 (78)
- 近視予防 (30)
- 飛蚊症・光視症 (14)
- 黄斑円孔 (4)
- 黄斑前膜 (2)
- 未分類 (8)
アーカイブ
最新の記事
- 2024.7.26
- メラトニンは加齢黄斑変性の発症・進行を予防
- 2024.7.20
- 眼科コメディカルセミナー2024
- 2024.7.11
- 減量薬は前部虚血性視神経症のリスクあり?
- 2024.7.4
- 中外製薬 眼科医配布パンフレット「Ask the expert in nAMD」
- 2024.7.1
- Retina update seminar in Chugoku〜明日から役に立つアレ!〜
- 2024.6.14
- 「目の紫外線対策」- 札幌テレビ「どさんこワイドニュース」
- 2024.6.7
- 裂孔原性網膜剥離は世界的に増加傾向です
- 2024.6.1
- 慢性腎臓病は加齢黄斑変性を進行させる
- 2024.5.28
- 眼疾患では気付かぬうちに視機能障害が進んでしまう
- 2024.5.18
- 加齢黄斑変性・糖尿病黄斑浮腫に対する抗VEGF療法で自動車運転に必要な視機能の維持を