ステイホームと視力低下
先日の毎日新聞に、「中国で新型コロナウイルスの感染拡大以降、若者らの視力低下が深刻化している。自宅で過ごす時間が増え、慢性的にスマートフォンやパソコンの画面を見ているためだ。」という記事が掲載されました。
新型コロナウイルスの感染予防対策として、世界中でステイホームが求められました。
ステイホームによる視力低下は中国に限ったことではなく、日本でも同様です。また、お子さんや若者だけでなく、中高年の方にも起こり得る症状です。
オンライン授業やテレワーク、外出自粛によるテレビゲームやYouTube視聴の増加など、デジタル機器に触れる時間が増えました。
その結果、「目の疲れ」や「目の奥の痛み」「ピントが合わない」「めまい」と言った症状が生じるVDT症候群(Visual Display Terminal:画像表示端末)あるいはIT眼症(IT, Information Technology:情報技術)を発症する方が増えています。
パソコンやスマートフォンといったデジタル機器の画面を見つめると、目の中のピントを合わせる調節筋が緊張状態となります。
長時間のデジタル機器使用により、調節筋に負荷がかかり、調節筋が疲労します。
調節筋の疲労蓄積が長期に及ぶと、ピントを合わせる力が弱まり、視力が低下し、物がダブって見えたり、目の周りや目の奥に痛みを感じるようになります。さらに頭痛や吐き気、めまいの原因にもなります。
また、パソコンやスマートフォンの画面を長時間見ていると、瞬きの回数が減り、涙が目の表面を潤さなくなり、ドライアイが生じます。
一番の治療法は、デジタル機器の使用を控えることですが、なかなかそうもいきません。
なるべく目に負担がかからないように、デジタル機器使用時に推奨される「三つの50」をご紹介します。
1.50cm離れて楽に見える大きさの画面のデジタル機器を選ぶ。
2.連続使用は50分以内とする。
3.距離は必ず50cm以上離れて見る習慣をつける。
15歳までは、眼球の大きさや形、物を見る機能や眼球運動の機能も発達途中です。そのため見る環境がこれらの発達に大きく影響します。
上手にデジタル機器を利用することが大人以上に子供には重要です。
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理事長・院長