3歳児健診
2024.10.9 ブログ
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2000年から19年間、医学誌「New England Journal of Medicine」の編集長を務めたDrazen先生は、その19年間で同誌に掲載された研究論文の中から、診療の変革や人々の命を救うような優れた研究論文12編を選び、冊子にされました。
「New England Journal of Medicine」は、200年以上の歴史を有し、世界で最も権威ある医学雑誌のひとつです。医学界のトップジャーナルとして、世界中の医師・研究者から高い評価を受けています。
この19年間に、8万編以上の論文が同誌に投稿され、実際に掲載されたのは約4000編でした。(20編に1編しか掲載されない、難関です。研究者は内容に自信のある論文しか同誌には投稿しませんので、投稿の時点ですでに選別されており、実際には20編に1編を遥かに上回る高嶺の医学雑誌です。)
選ばれた12編には、「大腸内視鏡ポリープ切除が大腸がん死亡の長期的予防効果があることを確認した論文」、「急性脳梗塞に対する動脈内治療の効果を検証した論文」など、従来の治療を大きく変えた研究論文が選ばれました。
残念ながら眼科領域の論文は選ばれませんでしたが、眼科と関連のある糖尿病についての論文、「Reduction in the Incidence of Type 2 Diabetes with Lifestyle Intervention or Metformin(生活習慣の改善またはメトホルミン内服による2型糖尿病発症率の低下)」(N Engl J Med 2002; 346: 393-403)を紹介します。
2型糖尿病の発症リスクが高い非糖尿病被験者3234例を、治療などをしない自然経過群、メトホルミン(経口糖尿病薬のひとつ)内服群、体重を7%以上減量し1週間に150分以上の運動をすることを目標とした生活習慣改善群の三つの群に振り分け、3年弱の経過観察を行い、糖尿病が発症した患者の割合を比較しました。
その結果、1年間に糖尿病が発症する割合は自然経過群では100人中11.0人、メトホルミン内服群では7.8人、生活習慣改善群では4.8人でした。
自然経過群と比較して、糖尿病発症率は、メトホルミン内服群では31%、生活習慣改善群では58%低下しました。
生活習慣改善群は、メトホルミン内服群よりも糖尿病の発症を減らすことができました。
薬に頼るよりも、自らの努力で生活習慣を見直すことの方が糖尿病の発症を予防することができるというわけです。
減量したり、運動を習慣付けたりすることは、食生活を見直すなど多方面での意識改革につながります。
自らの意思で能動的に疾患予防に取り組む姿勢は、糖尿病のみならず他の生活習慣病の予防にも相通じるものと思われます。
Drazen先生は冊子の巻頭で、優れた研究とその成果が、治療の現場に変革をもたらしたこと、研究者の熱意と研究のために参加・協力してくれた患者の存在なくして、これらの成果は得られなかったと述べられ、「医師が患者をより効果的に救えるよう、われわれの努力が役に立つことを望む」と結ばれました。