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糖尿病患者の血圧管理に新たな指針:厳格な血圧コントロールが心臓と目を守る

糖尿病と高血圧は、現代人にとって非常に身近で、かつ密接に関係している病気です。特に、2型糖尿病患者における高血圧の合併は非常に多く、それが心筋梗塞や脳卒中といった重大な心血管イベントの引き金になるだけでなく、網膜症など目の病気の進行にも深く関与しています。今回紹介する研究は、そうしたリスクに対して、血圧管理の新たな方向性を示した意義深いものです。

このたび中国で実施されたBPROAD試験(Blood Pressure Control Target in Diabetes)は、2型糖尿病のある中高年(50歳以上)の患者約1万3千人を対象に、収縮期血圧(いわゆる「上の血圧」)の管理目標を「120mmHg未満」に設定した群と、「140mmHg未満」に設定した群で比較するという大規模かつ厳格な無作為化比較試験です。これまでにも同様のテーマを扱ったACCORD試験という研究がありましたが、規模や設計の面から決定的な結果は得られていませんでした。

今回のBPROAD試験では、平均4.2年にわたる追跡の結果、厳格な血圧管理群では心筋梗塞、脳卒中、心不全による入院、あるいは心血管死といった重大なイベントの発生率が21%低下しました(ハザード比0.79)。さらに、副次的な解析では、特に脳卒中の発症が有意に抑えられており、これは中国を含むアジア圏に多い「脳卒中型心血管病」への対策としても、実に意義深い成果です。

では、眼科医としてこの結果をどう捉えるべきでしょうか。

ご存じのとおり、糖尿病は眼底の毛細血管にもダメージを与え、糖尿病網膜症や糖尿病黄斑浮腫といった、視力に直接影響を与える疾患の原因となります。これらの網膜疾患の進行には、血糖のみならず血圧、脂質、腎機能などの全身状態が密接に関係しており、特に高血圧は網膜血管の内皮障害を進め、出血や浮腫を引き起こす一因とされています。

その意味で、今回の研究成果は、心臓や脳だけでなく、目の健康にも大きな恩恵をもたらす可能性があります。例えば、眼科で治療を受けている糖尿病網膜症や糖尿病黄斑浮腫の患者さんで、血圧が十分にコントロールされていないケースは少なくありません。今後は「120mmHg未満」という目標を、内科主治医と共有しながら、より積極的に全身管理の重要性を患者さんに伝えていくことが求められるでしょう。

もちろん、血圧を下げれば下げるほど良い、というわけではありません。研究では、厳格な治療群で低血圧や高カリウム血症のリスクがやや上昇しており、特に高齢者や腎機能に問題のある患者では注意が必要です。しかしながら、全体としての重篤な副作用の発生率は両群で差がなく、安全性はおおむね保たれていました。

今回の研究は、現在の糖尿病診療ガイドラインに影響を与える可能性も高く、今後、糖尿病患者の血圧管理目標はより厳格化される方向に進むかもしれません。眼科医としても、視力温存という立場から「眼だけを診る」のではなく、「全身状態を把握し、目の病気の予防・管理に役立てる」という視点を改めて持つことの重要性を再認識させられる内容でした。

私たちが日常的に診ている糖尿病網膜症の患者さんも、実はこうした全身管理の介入によって、失明のリスクを下げられる可能性があります。今後の診療では、内科医との連携をより一層強化し、「目と命の両方を守る医療」を実現していくことが、私たち眼科医に課された新たな使命と言えるかもしれません。

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