硝子体出血は「様子を見る」べきか それとも手術か
ある日突然、目の前が真っ黒になる。
あるいは、墨を流したように見えなくなる。
そんな症状で受診される方の原因として多いのが、
「硝子体出血(しょうしたいしゅっけつ)」です。
特に糖尿病のない方では、
その原因の多くは「後部硝子体剥離(PVD, Posterior Vitreous detachment)」と呼ばれる、加齢による変化です。
これまで硝子体出血は、「時間が経てば自然に治ることが多い」と考えられてきました。
- 約60%は自然に改善
- ただし数週間〜数か月かかる ことが分かっています。
そのため、外来では「しばらく様子を見ましょう」と説明されることが多い病気です。
ただし問題があります
実はこの病気には、もう一つ重要な側面があります。
それは、網膜剥離が隠れている可能性があるということです。
- 約17%で網膜剥離が発生
- しかも多くは発症から3週間以内 と報告されています。
つまり、
「見えないから様子をみる」と言われている期間が、最も危険な時期でもある
ということです。
ここで大きく変わってきたのが、手術の進歩です。
現在は27ゲージ硝子体手術という方法が普及し、
- 傷が非常に小さい
- ほとんどの症例で縫わなくてよい
- 回復が早い という特徴があります。
以前は「手術=大きな負担」でしたが、
現在は、比較的低侵襲で行える治療になっています。
では、どう判断するのでしょうか。
現在の考え方は次のように変わってきています。
● 様子を見るケース
・ 出血が軽い
・ 網膜剥離のリスクが低い
● 手術を積極的に考えるケース
・ 出血が強くて全く見えない
・網膜裂孔が疑われる
特に、若い方・見えない状態が強い場合は、
「待つリスク」の方が大きくなることがあります。
この病気で重要なのは、最初の数週間の判断です。
- 本当に様子を見てよいのか
- 早く手術した方がよいのか
これは患者さんごとに違います。
硝子体出血は、
- 自然に治ることも多い
- しかし重大な病気が隠れていることもある という、少し判断の難しい病気です。
・そして現在は、手術の進歩によって
「待つ」か「治療する」かのバランスが変わってきています。
・もし急に見えなくなった場合は、
早めに眼科で詳しく調べることがとても大切です。
目の中で何が起きているのかを見極めることで、最適な治療につながります。
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理事長・院長