「加齢黄斑変性は静かに増え続けている」―日本の大規模データが示した“見えない現実”―
近年、加齢黄斑変性(AMD)、特に血管新生型(nAMD)の患者さんが増えていると感じている眼科医は多いと思います。
日本全国の医療データを使った大規模な研究で、加齢黄斑変性(特にnAMD)の患者さんが確実に増えていることがはっきり示されました。
しかもこの研究、ただの統計ではありません。
日本の人口の95%以上をカバーする医療データベース(NDB)を使っており、ほぼ“日本の現実そのもの”を反映しています。
■ 5年で1.5倍に増えた現実
2014年と2019年を比べると、約7万6千人 → 約12万5千人
と、たった5年で1.5倍以上に増えていました。
「高齢者が増えたからでは?」と思われるかもしれませんが、年齢の影響を調整しても増加は続いており、
単なる高齢化だけでは説明できない増え方が起きています。
■ 特に増えているのは“後期高齢者”
年齢別に見ると、
・80歳前後がピーク
・75歳以上で急増
さらに驚くのは、90歳以上では倍以上に増加していることです。
つまり、「とても高齢の方の病気」だったものが、「さらに高齢の方に広がっている」という状況です。
■ 注射が増えている理由
治療の面でも大きな変化があります。
抗VEGF注射(目の注射)は、治療回数が増えたのではなく、治療を受ける人が増えたのです。
実際、1人あたりの注射回数はそれほど増えていません。
つまり、患者さんの数そのものが増えている。
これが医療の負担を大きくしています。
■ なぜ増えているのか?
はっきりした原因は一つではありませんが、
・OCT検査の普及(早く見つかるようになった)
・治療を始めるタイミングの変化
・寿命の延び
などが考えられています。
■ 患者さんにとって大切なこと
この研究から分かる一番大切なことは、
加齢黄斑変性は“珍しい病気ではなくなっている”ということです。
しかし同時に、きちんと治療すれば進行を抑えられる病気でもあります。
■ これからの治療の考え方
患者さんが増えるということは、全員に同じペースで注射を続けることが難しくなる
という意味でもあります。
これからは、
・長く間隔をあけられる人
・しっかり治療が必要な人
を見極めることが重要になります。
■ 最後に
加齢黄斑変性は、静かに、確実に増え続けている病気です。
でも、早く見つけて、適切に治療すれば視力を守ることができます。
「最近見えにくい」「ゆがんで見える」などの症状があれば、早めにご相談ください。