視覚障がいと日内リズム
- 2018.5.23
- ブログ
- 先日、メラノプシンという物質を有する網膜神経節細胞が光刺激に反応し、皮膚の日焼けを誘発すること紹介しました。
- メラノプシンを有する網膜神経節細胞のもう一つの働き、日内リズム(体内時計)を調整する作用に関する論文が、米国眼学会の機関誌Ophthalmologyの電子ジャーナル版に掲載されました。
- 日内リズムは、朝になると目が覚めて夜になると眠くなるとか、ホルモン分泌の日中と夜間の違いなど、身体のさまざまな働きが一日の時間帯によって規則的に変動し、リズムを刻んでいる現象です。あたかも身体の中に時計が内蔵されているように。
- 実はこの体内時計を動かしているのが、メラノプシンを有する網膜神経節細胞なのです。
- この神経節細胞が太陽光の青色光(いわゆるブルーライト)を認識すると、視神経を介して脳に伝わり、メラトニンというホルモンの産生が抑制され、血中メラトニン濃度が減少します。これが日中に起こる反応です。
- 夜になって青色光が眼内に差し込む量が減ってくると、メラトニン産生抑制が解除され、血中メラトニン濃度が増加します。
- このメラトニンの増減が身体の日内リズムを刻むのです。
- したがって、目に病気があって視機能が障がいされると、日内リズムに変調をきたし、不眠症などになりやすいことが知られています。
- ところが先程のOphthalmologyの論文は、両眼が失明していても、目に青色光を照射するとメラトニンの産生抑制が起こり、日内リズムが刻まれている患者さんがおられることを報告しました。
- 光を感じ、目の前の物体を認識するための光刺激は、網膜の視細胞が感受し、視神経を介して脳の視中枢に伝達されます。
- つまり、物が見えることと日内リズムをつかさどる最初の細胞は、いずれも目の中の網膜に存在するものの、両者は別々の細胞なのです。
- ですから、視細胞が広範にダメージを受け、光を感じなくなっても、神経節細胞とその後の情報伝達経路が働きを有していれば、日内リズムは刻まれるというわけです。
- いろいろ考えさせられる非常に興味深い報告です。
- 目は直径2.4ミリほどの小さな球体ですが、複雑な働きをしています。
- 物を見る・日内リズムを刻む、そして先日のブログの皮膚の色素沈着。
- 目の働きを保つことの大切さを感じます。
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