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台湾の研究チームの「糖尿病治療の飲み薬メトホルミンが加齢黄斑変性の発症リスクを低下させる効果がある」という主旨の論文が、Invest Ophthalmol Vis Sciの最新号に掲載されました。
メトホルミンは主に肝臓に作用し、肝臓から体内に糖が放出されるのを抑えたり、腸管でのブドウ糖の吸収を妨げることで血糖値を低下させます。
また国よっては、肥満の治療薬としても承認されています。
今回の研究では、既に報告されている9つの論文データを集計し解析しました。
既報の論文データを統合するという研究手法によって、対象患者は144万6千人以上という膨大な症例数となりましたので、ここから導き出された結果の信頼性を高めることになります。
解析の結果、メトホルミンを内服することで、内服していない症例と比べ、滲出型あるいは萎縮型加齢黄斑変性の発症リスクが0.8倍に低下していました。
メトホルミンは血糖値の下降作用に加え、下記のような効果も有しており、加齢黄斑変性の発症予防につながるのではと論文では考察しています。
・細胞内への脂質蓄積を減らす効果があり、加齢黄斑変性発症の引き金となるドルーゼンと呼ばれる網膜色素上皮細胞と脈絡膜の間への脂質沈着を減らす可能性があります。
・脂質沈着の減少は、脂質が発生する活性酸素を減少させ、活性酸素によって誘発される炎症反応が軽減されます。
・メトホルミンは血管新生を抑制する作用があり、滲出型加齢黄斑の脈絡膜新生血管の発生を抑える効果が期待されます。
・網膜色素上皮細胞は視細胞の老廃物を消化、分解する機能を有し、視細胞の機能維持に寄与しています。メトホルミンは老廃物の消化、分解機能を高める可能性があり、加齢で低下した網膜色素上皮細胞の機能を維持し、視細胞の機能維持にもつながる可能性が示唆されます。
現在、日本でメトホルミンは糖尿病の治療薬としてのみ認可されており、加齢黄斑変性の予防薬として使用することはできません。
メトホルミンは下痢や、吐き気、食欲不振、体重減少などの副作用があります。
今回の論文でも、メトホルミンの有効性についてはさらに検討する必要があると記されており、今後の進展が期待されます。