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滲出型加齢黄斑変性と糖尿病黄斑浮腫の新薬「ファリシマブ」

2021年のゴールデンウイークはウエブを利用して、ARVO (視覚と眼の研究会議、Association for Research in Vision and Ophthalmology)の学会に参加しました。

ARVO学会は、毎年この季節にアメリカで開催されるのですが、今年は新型コロナウイル感染症の影響で、オンラインでの学会開催となりました。

ARVOは75か国以上から、約11,000人の眼科領域の臨床研究者と基礎研究者が所属する団体で、眼科領域では最大の研究団体です。

今回の学会で注目の話題の一つは、滲出型加齢黄斑変性と糖尿病黄斑浮腫に対する治療薬として開発中の新薬、ファリシマブです。

滲出型加齢黄斑変性と糖尿病黄斑浮腫に対するファリシマブの有効性を検証した臨床試験の結果、ファリシマブはこれまで認可されている薬剤よりも長い投与間隔で、従来の薬剤を2カ月毎に投与した症例と同等の治療効果が得られることが確認されました。

この臨床試験では、いずれの疾患に対しても、ファリシマブで治療した症例の約半数が、4カ月毎の薬剤投与で良好な治療成績を達成することができ、約4分の3の症例で、薬剤投与間隔を3カ月以上に延長することが可能でした。

ファリシマブは、様々な網膜疾患の発症や進行の原因となるアンジオポエチン-2(Ang-2)と血管内皮増殖因子-A(VEGF-A)の作用を抑制する薬剤です。

全く異なる2つの反応経路を治療するという点で、斬新な薬剤です。

Ang-2とVEGF-Aは、血管壁の構造を不安定化させ、血管内の血液成分を血管外に漏出させたり、新たな血管の形成を促したり、炎症を引き起こす作用を有しています。

Ang-2とVEGF-Aが眼内で増えることで、滲出型加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫が発症します。

滲出型加齢黄斑変性は、中心視力を司る黄斑下に血管の膜が増殖することで、眼底に出血やむくみが生じ、急速に視機能が低下する疾患です。

全世界で約2,000万人が滲出型加齢黄斑変性に罹患していると推測されており、高齢化に伴い患者数の増加が見込まれています。

糖尿病黄斑浮腫は、全世界で約2,100万人が罹患しており、糖尿病網膜症の進行に伴い発生し、視力の低下を招きます。

滲出型加齢黄斑変性と糖尿病黄斑浮腫に対する治療は、VEGFの働きを抑制する薬剤を長期間、繰り返し眼内に注射します。

繰り返しの眼内注射は負担が大きいため、投与回数を減らし良好な視機能を維持することが治療の課題となっており、この課題を克服するための薬剤開発が行われています。

ファリシマブは従来の薬剤と比べ投与回数を減らすことができ、患者様の負担軽減につながる薬剤として期待されます。

ファリシマブの効果や安全性を検証する臨床試験は2022年末が終了予定とされています。臨床現場でファリシマブが使用可能となるまでは、まだ時間がかかりそうです。

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