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加齢黄斑変性は、網膜(カメラのフィルムにあたる組織)の中央に位置し、物を見る時にピントの合う大切な部位である黄斑に異常な老化現象が起こり、視機能が低下する病気です。
加齢黄斑変性は、黄斑部の加齢変化(活性酸素による酸化ストレスなど)が原因と考えられており、他の原因として、遺伝や喫煙、高血圧、高脂血症、日光曝露などが報告されています。
加齢黄斑変性の患者さんを診察していると、遠視の方が多い印象を受けます。
しかし、遠視が加齢黄斑変性の発症に直接関与するかどうかを科学的に実証すること容易ではありません。
2013年、メタアナリシスという解析方法(複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析)を用いて、加齢黄斑変性と屈折異常(近視や遠視)との関係を検討した研究が、米国眼学会の機関誌Ophthalmologyに掲載されました。
加齢黄斑変性の発症リスクは、遠視の人は正視の人と比べ1.16倍高く、逆に近視の人は0.75倍で加齢黄斑変性になり難いという結果でした。
今月号(2019年10月号)のAmerican Journal of Ophthalmologyに、遠視は弱いながらも加齢黄斑変性の発症リスクを高め、遠視が強いほどそのリスクが高まることを、遠視の発症に関与する多数の遺伝子と加齢黄斑変性の発症を高める遺伝子との関連について、メンデル無作為化解析という手法を用いて明らかとした論文が掲載されました。
近視や遠視が加齢黄斑変性の発症と関連する理由として以下の点が考えられています。
1.近視の人は普段からメガネをかけており、加齢黄斑変性の発症を促す紫外線照射から守られている。
2.遠視眼は一般的に眼の長さが短く、強膜(白目、眼球の外壁)の硬さが強い傾向にあり、脈絡膜の血流に影響を及ぼし、加齢黄斑変性の発症を促す。
3.遠視眼は眼の長さが短く、近視眼では長いため、眼球容積に違いがあります。加齢黄斑変性の脈絡膜新生血管を誘発するタンパク質の眼球内濃度が遠視眼では高濃度に、近視では低濃度になることで、脈絡膜新生血管の発生に差が生じる。
今回の論文の最後には、遠視が加齢黄斑変性の発症を高める因子ですが、喫煙は遠視以上に加齢黄斑変性の発症に強く関与する危険因子ですと述べています。