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iPS細胞由来の網膜視細胞移植による機能再生

  • 今週の外来診察で患者さんから下記の記者会見に関するご質問をいただきました。
 
  • 先週、理化学研究所(加齢黄斑変性の患者さんにiPS細胞由来の網膜色素上皮細胞の移植治療を世界で初めて行った施設です)の万代先生が、網膜変性モデルのマウスにiPS細胞由来の網膜視細胞を移植し、移植した組織が光を感じ、その情報を移植先の網膜に伝達することを確認したと記者発表されました。
 
  • 目をカメラに例えると、網膜はフイルムの働きをしています。目の前の映像を網膜で捉え、その情報は視神経を経由して脳に伝えられます。
 
  • 網膜で最初に光を受け止める細胞が視細胞です。視細胞で受け取った情報は網膜の中で複数の細胞に伝えられ、視神経に至ります。
 
  • 万代先生のグループは既に、iPS細胞から作成した視細胞をマウスに移植し、移植視細胞が移植先の網膜細胞と情報伝達を行える可能性があることを報告しています。
 
  • 今回は、移植した視細胞と移植先の網膜が情報の伝達を行っていることを機能の面から実証したという報告です。
 
  • 視細胞が移植された網膜変性疾患のマウスは、光への反応が良くなり、行動が改善しました。
 
  • この一連の研究結果はとても画期的です。移植片が移植先に生着し、さらに近隣の細胞と情報交換を行える状況を新たに作り出し、かつ機能していることが確認されました。
 
  • 今回の研究結果は、網膜移植の治療が低下した機能を回復させ得る可能性を示唆しています。
 
  • 今回の研究から、加齢黄斑変性や網膜色素変性などの網膜変性疾患の治療として、iPS細胞由来の視細胞移植が有用である可能性が期待されます。
 
  • この分野は日進月歩です。長足の進歩とはいきませんが、地道に一つ一つ結果を積み重ね、やがて患者さんの治療へ応用されます。
 
  • 今回ご質問いただいた患者さんには「すぐに治療として使えるわけではありませんが、5年・10年後には新たな状況になっていると思います。ですから、今できる治療をしっかり継続し、来るべき将来に備え、新たな治療法の効果が発揮されやすい状態を保つようにしましょう。」とお話ししました。

ひきち眼科HIKICHI EYE CLINIC 理事長・院長引地 泰一

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